ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

F-ZERO GX/AX オリジナルサウンドトラックス

今回はアルバムのレビュー。

F-ZERO GX/AXのサントラである。何を隠そう私が初めて自分の小遣いで買ったCDなのだ。

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スマブラでお馴染み、キャプテン・ファルコンのレーシングゲームだ。

いや、ファルコンはそもそもレーシングゲームのキャラなのだが、続編が17年ほど出ていないので、もうスマブラのキャラ化している。しかしこのシリーズをプレイした人は皆、今もまだ続編を待っているはずだ(多分)。

 

そしてこの作品、BGMに力が入りすぎている。たとえばキャプテン・ファルコンの曲。

 

この曲はオープニングでもなく、レース中に流れるBGMでもなく、ゲーム内でキャラクターのプロフィールを眺める時専用のものである(マスタークラス優勝時のムービーでも挿入されるが)。しかも登場キャラ41人分の専用BGMが存在する。そしてあまりにも限定的な使いどころのくせに、クオリティがいちいち高い。作曲者が曲の依頼を受けた時に「え、レースのBGMじゃないの!?」と驚いたらしい。それから毎日キャラ一覧の絵を見ては、「今日は誰の曲にしようかな」と作業を続けていたとか。

 

個人的に好きな曲を挙げると、まずドクター・スチュワートのテーマ。

レーサーでありながら医者でもある彼のテーマは、なぜかハウスの流れをたっぷりと受けたトランスだったりする。

 

またデジボーイのテーマも一時期狂ったように聴いていた。

デジボーイは8歳の子どもながらにして地球上で一番頭の良い人間らしい。ディストーションギターが重厚になるロックなのに、四つ打ちのドラムマシンとピコピコと響くシンセの音が絶妙にマッチした中毒性のある曲だ。

 

プリンシア・ラモードも幻想的で良い。

プリンシア・ラモードはマジカール星デザート王国の王女らしいが、お転婆F-ZEROグランプリにお出てしまう。アラビア風の楽器・曲調がどこか高貴な雰囲気を、そしてハードロックなギターがお転婆さを演出するなど、非常にキャラに合ったBGMである(プリン→デザート→砂漠というシャレからこうなったのだろう)。

 

ゲーム本編で流れるBGMも素晴らしい。人気のある曲はスマブラに輸出されているので今回は取り上げず、あまり知られていないものの中から一つ私の好きな曲を挙げようと思う。

それがこのビッグブルーのリミックスである。トランス調にアレンジされると、リッジレーサーのようで実にレーシングゲームらしい。

 

このゲームは2003年に発売されたのだが、同時期のレーシングゲームとしては、「カービィのエアライド」があった。私はどっちを買おうか迷ったが、F-ZEROのほうが二週間ぐらい発売が遅く、「後発のほうが面白かろう」と大して変わらぬ発売日を判断基準とし、このゲームに足を踏み入れてしまった。当時エアライドを買った人が圧倒的に大多数であり、F-ZERO GXを買った人間など同じ学年で私ぐらいだったらしく、割と遠くのクラスのヤツから「お前F-ZEROやってるんだって?」と言われるほど、稀有な人間として噂が伝わっていたようだ。カービィ好きな妹からは「なぜあの時エアライドを買わなかったのだ」と、今でも言われる始末である。

しかし私は後悔などしていない。それどころかこんな良質なBGMと知り合えたのだから、F-ZEROを選んでよかったと思っている。本作のセーブデータが入ったメモリーカードを持って、今は亡きゲーセンBGBに置いてあったF-ZERO AXからマシンデータをゲットしたのも良い思い出である。 

 

そんなわけで続編は出ないのだろうか。もっとも今の私の動体視力は、もはや高速のレーシングに耐えられるかわからないのだが。