ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです

装置メガネ/青春ナウ!

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爆笑オンエアバトルという番組があった。10組の若手芸人のネタを録って、観客がそれに票を入れて審査する。最後に票の多さを計って、上位5組を決める。そして実際にオンエアされる番組では計量のシーンから放送し、上位5組のネタしか流さないという、非常にシビアなお笑い番組だ。私は友人からそのビデオを貸してもらい、それはもうドハマリした。漫才やコントのセリフを諳んじられるほどに、だ。

 

この番組を毎週見ていた私だが、2004年に困ったことが起こった。これの音楽版をお笑いと交えて隔週で流すことが決まったのだ。つまりネタ番組を月に2回しか見れなくなる。「なんだよ、歌番組なんかどうでもいいよ」と、ひどくガッカリしたことを覚えている。

 

少し経ったある時、気まぐれに私はオンバトの音楽編である「熱唱オンエアバトル」というその番組を見てみた。そこに登場したのが装置メガネである。お世辞にも上手といえない歌唱力、ボーカルのよくわからない風貌、後ろにいる同じ髪型のキーボード。やたらピコピコしている楽曲。どうにもハイテンションな振り付け。全てがクエスチョンであった。ところがその曲「Television」は私の心を掴んで離さなかった(ということは、彼らは勝ち残ってオンエアされたのである)。

 

そしてしばらくして、次回予告で装置メガネが再び出演することを知った。そこで流れてきたのが「青春ナウ」という曲である。

この動画は別番組のものであるが、そのイメージは十二分に伝わるかと思う

一体何を歌っているのだろうか。青春のドキドキを伝えたいのはわかるのだが、如何せん情報量が多すぎてそれどころではない。しかし私の求めていたものはこれだったのだ。これをきっかけに私は、熱唱オンエアバトルを毎週見るようになってしまった。そしてそこからインディーズバンドへとのめり込んでいった。

 

装置メガネが私に与えた影響はもう一つある。それはテクノポップへの傾倒である。四つ打ちのバスドラム、バシっと鳴るスネアドラム。ピコピコしたシンセ音。露骨なまでのデジタルサウンドを心地よく感じる自分がいた。よくよく考えてみるとTommy february⁶にハマったのだから、テクノポップの音にも親近感を持つのも当然で、今思えば地層が重なっていっただけの話だ。その地層はいつの間にか私を構成する土壌となり、ここから石野卓球に入ってガチガチのテクノを知り、大学のバンドサークルでは「DISCO TWINSRYUKYUDISKOを聴いています」などという自己紹介をしてしまい、奇特な目で見られるようになったのだ。どう考えても私の分が悪い。

 

装置メガネはこの曲を含めたアルバムを引っ提げてメジャーデビューを果たした。正直メジャーのクオリティではなかったように今は思う。その一枚を最後にメジャーから撤退し、メンバーも脱退。今はボーカルのサミーちゃんが一人で活動しているらしいが、どうやって食べているのか、私は知らない。そんな装置メガネであるが、バリバリの打ち込みサウンドの良さを教えてくれたことに、私は今も感謝している。ナウではないものの、私の青春は確かにそこにあったのだ。