ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

fripSide NAO project!/やっぱり世界はあたし☆れじぇんど!!

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「どーにも! こーにも!? 世界の主役はあ・た・し!(yeah!)」

凄まじい冒頭の歌詞である。どうやったらこんな言葉が思いつくのか。

 

私の所有する曲のうち、最も曲数の多いミュージシャンといえばfripSideである。このグループは今やアニソン界の重鎮であり、ボーカルが代わってから10年以上が経っている。しかし私が彼らと出会ったのは、初代ボーカルのnaoの頃。しかもソロプロジェクトのfripSide NAO project!の曲「やっぱり世界はあたし☆れじぇんど!!」から入ってしまった。正確にはアニメタイアップのOP「flower of bravery」からなのだが、私の琴線に触れたのは、このEDのほうだった。私はここから電波ソングというジャンルを知り、その後2年ぐらいかけて電波ソングを集めるようになるのだが、それはまた別の話。

 

アニソンに詳しい人ならよく知っているかと思うが、fripSideは90年代後半~00年代前半に流行ったトランスやデジタルロックを現代に継承しているユニットだ。バリバリのシンセ、四つ打ちのキック、左右に開いたディストーションギター、メタルの系譜を引くギターソロ。これをずっと貫いている。しかし初代ボーカルのnaoの頃、「naoの声質はカワイイ曲と相性がいいのではないか」と依頼がなされた。プロデューサーの八木沼悟志fripSideの方向性をブレさせないため、わざわざ別名義を設けたのだが、このような経緯にも拘らず、その時提供した電波ソングのクオリティは凄まじかった(その曲については別の機会に書こうと思う)。これが関係者に好感触だったようで、そこからアルバムも作り、この「やっぱり世界はあたし☆れじぇんど!!」でメジャーデビューまでしてしまったのだ。

そんなこの曲、曲調は一見電波ソングそのものなのだが、曲の構成はやはりfripSideである。上記の特徴がきちんと表れており、別名義ながらも自分たちの色をきちんと出そうとするsat氏のこだわりが表れている。またアニメ本編に合わせてか、ところどころで中華風の色が見られる。OPが志倉千代丸氏によって作られており、sat氏は編曲しかやっておらず、そのフラストレーションが溜まっていたのか、EDでこれでもかと自分のやりたいことをやったのだろう。

 

また冒頭にも書いたブッ飛んだ歌詞であるが、グループメンバーのnao氏、sat氏に加えて、一期fripSideの作詞家でお馴染み、山下慎一狼氏(通称「王様」)が参加している。一期に詳しい人ならわかるかと思うが、この三人が集って作詞をする曲はこの一曲しかないのだ。かなり豪華な布陣である。「無茶をせず でもねお茶はして」のところの語感の良さ、可愛さたるや。「最初から内緒」と、二番の同じ部分で同じように韻を踏んでいるところもさすがである。

 

私はこの曲から遡り、彼らの名盤「Rabbit Syndrome」を買った。「これからもどんどんナオプロの曲を出してくれ!」と願っていた矢先、fripSide自体が活動休止に入り、私はひどくショックを受けたことを覚えている。しかしその数か月後、新しいボーカルと新曲「only my railgun」を引っ提げて、彼らは再び鮮烈なメジャーデビューを果たした。そして今でも彼らは眩しいほどの活躍を見せ続けている。

 

正直ナオプロは過去の遺産だ。しかし2017年のライブで、まさかのナオプロが一夜限りの復活。このこともまた別の機会に書こうと思っているが、とても嬉しかった。

 

私は今でも在りし日の彼らの曲を聴いている。権利上非常に難しくはあるが、いつか再び「やっぱり世界はあたし☆れじぇんど!!」を聴きたいものだ。