以前の記事にも書いたが、私はfripSideが好きである。一期も二期も分け隔てなく聴くし、だからこそDecadeのPVでは深い感動を味わった。今回はそんな一期のボーカルnao(以下なおすん)がfripを卒業し、ソロでやっていくことになった時の曲についてである。
fripのボーカルが南條氏に替わり、大成功を収めたのは嬉しかった。しかしその裏でふと気になっていたのが、なおすんについてである。当時はまだ後年のようにfripとコラボすることもなかったし、fripをめぐる人間関係がベールに包まれていた。satこと八木沼氏に携わっていた制作陣が皆なおすんに付いていっており、sat氏と5pb系の人たちとの確執も噂されていた頃だ。fripが売れれば売れるほど、さてなおすんはどうするのだろうと心配になった。そんな時に発売されたのがこの曲。
私はこのゲームをやったことがないので、歌詞と世界観がマッチしているかはわからない。それを踏まえて歌詞を見てみよう。
「ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪ ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪ラブリン♪ラブリン♪ラブリン♪ラブリン♪ 」
心配していたミュージシャンの久々に聴いた第一声がこれである。「なおすんは一体どうしたんだ…」と驚いたものだ。しかし「カワイイ曲がやりたい」とfripを脱退したのだから、その夢は叶ったのだろうとも思い同時にホッとした。fripSide NAO project!はここに継承されたのだ。
そこからの歌詞を見ると、電波チックに舵を切った世界観が見られる。最初は「千代丸氏はこういう歌詞も書くのか…」と思ったが、よくわからないカタカナ用語(作中の用語らしい)が並ぶあたりがやっぱり千代丸氏らしいなあと。
曲に関しては非常に私好みではあるものの、あまり千代丸氏らしさを感じなかった。なぜだろうと思い調べてみると、この頃千代丸氏の曲をよく編曲していた磯江俊道氏がクレジットにはなく、そこに表記されていたのはアラケンこと新井健史氏の名前だった。アラケン氏といえばfripのサポートメンバーで、作詞・作曲・編曲を担当していた人物である。「そうかアラケンはなおすんと組んでいるのか…!」と私はテンションが上がった。
紆余曲折があって生まれた今作。sat氏は自分たちのライブのゲストになおすんを呼んだり、今でも交流があることが嬉しい。アラケン氏はなおすんと組んでいたものの、自分の見つけたボーカルをプロデュースするようになってからはなおすんと離れていき、今や相互フォローも外れている。なおすん組だった王様こと作詞家の山下慎一狼氏は今でもなおすんと組んでいるようだが、sat氏からもアラケン氏からも距離を置いている。あの頃を知っている人間としては、あの頃の面子が再び集って何とか一つにシンクロしてくれないものかと切に願うばかりである。