ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

女王蜂/待つ女

f:id:majaraka:20220417202054j:plain

♪まーてどくらせど おまえはこなーいー

 

という低くて艶っぽい声をスカパーのPV垂れ流し番組で聴いたのは、もう10年以上前のことだ。

9mm Parabellum BulletとかTHE BACK HORNとか、いわゆる歌謡ロックというジャンルの存在をよく聞くけど、ここまで濃厚な歌謡曲テイストな曲も珍しい。そしてビジュアルが歌謡テイストから一番遠いところにいるのも面白い。アヴちゃんなんか、戦隊モノの敵の幹部みたいな姿なんだもの。

 

歌詞は情念的で、もはや演歌の世界だ。「待つ女」と銘打っておきながら、ただひたすらに耐え忍ぶ女ではなく、待ちすぎておかしくなったのか、病的に笑って男を追い詰めていく、ストーキングテイストな女の歌だ。

 

その世界観をしっかりと支えるのがディストーションサウンドだ。特にリードギターの暴れっぷりが顕著であり、全然関係ないコードをジャーンと鳴らしたり、一人でフラフラ歩いているかのようなリフを奏でたり、フェイザーのようなエフェクターを使って轟々とした音を聴かせたりと、この曲の主人公の狂気がしっかりと表現されているのよね。

 

女王蜂の曲は、程度の差こそあれ全て狂気と情念に満ち溢れている。とはいえ全曲歌謡ロックというわけでもなく、色々な感情を様々な形で表現しているため、アルバム一枚通して聴いても退屈しない。それでも私は「歌姫」とか「火の鳥」のような、わかりやすい歌謡ロックが好きだし、彼女たちの持ち味を最大に魅せられるジャンルだよなあと思っている。