ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

コルネット(藤野かほる)/ありがとう

色んなゲームをやってきた私だが、「泣けるゲームは?」と聞かれたら、真っ先に挙げるのが「マール王国の人形姫」というRPGだ。といってもただのRPGではなく、要所々々でミュージカル調になり、敵も味方もボーカル曲を歌いだすという異色のゲームだ。旅の目的はシリアスだが、難易度もソフトだし、かなりコミカルな作品に仕上がっている。

 

ではなぜ泣けるのかというと、物語の最後にその理由が存在する。ネタバレを避けるため詳しくは書かないが、主人公のコルネットは夢を叶える代わりに、あるものを永遠に失うことになる。この旅を経てコルネットに感情移入しているため、ボロボロと泣くコルネットにプレイヤーである私も涙が止まらなくなる。そこにエンディングとして流れてくるのが、この「ありがとう」という曲だ。

プロデューサーの新川宗平氏が作詞をしているので、物語とピッタリ合った歌詞となっている。「一つの物語が始まり そして、いつか終わりがくる」というのはまさにこの時の切なさを描いており、心がキュっとなる。

 

「『ありがとう』と言った数だけ 人は幸せになる」というサビの歌詞は、物語に留まらず人生の金言だとすら思っている。

 

この悲しくも未来へ向かっていく歌詞の曲を、永遠の別れに直面したばかりのコルネットが歌うのだから、もう泣けて泣けてたまらない。このストーリーからエンディングが流れていくところで、今でも泣いてしまう。

 

そしてここに来るまでに出会った仲間たちや憎めない悪役のこと、時には人間の心の闇を描いたものや、悲劇的なシナリオもあったり、それでもハッピーエンドに向けて話がまとまっていく所が走馬灯のように駆け巡り、「このゲームをプレイして良かった…」という満足感を抱くのだ。

 

こんな素晴らしい曲に出会わせてくれた「マール王国」には、「ありがとう」以外の言葉が見つからない。