ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

Jazztronik/Love Tribe feat.Miss Vehna from Soul Trip! !

以前にも言ったように私はハウスミュージックが好物であるとともに、ソウルミュージックも好きだったりする。そのハウスとソウルが見事にマッチしたJazztronikなんかは、そりゃ好きにならずにいられない。

 

Jazztronikは作曲家でありDJでもある野崎良太氏によるソロプロジェクトであり、20世紀の終わりの頃から今日に至るまで活動を続けている。Jazztronikという名の通り、ElectronicにJazzミュージックを混ぜたような曲調が特徴的である。

 

そんなJazztronikの楽曲の中で、私が最初に出会ったものがこの「Love Tribe feat.Miss Vehna from Soul Trip! !」だ。

イントロのところからすでにJazztronikがどういう立ち位置なのかよくわかるようになっている。ピアノとストリングスで日が昇る朝のようにクラシカルに始まるのだが、入ってくるボーカルのMiss Vehnaこと福原美穂氏の声はソウルフルなのだ。そしてハウスミュージックらしい四つ打ちのドラムと弾むベースがミドルテンポで鳴り響き、エレクトロ要素が染みわたっていく。ジャケットの子どもが頭に乗せていることもあるのだが、この曲(と次曲「Morning Sun」)は“朝の空港から飛行機が飛び立っていく”というイメージが非常に強い。あの忙しなくとも静謐で眩しい空間が私は好きなのだが、そこにピッタリ当てはまる感じ。

 

一方で歌詞は恋愛としての愛というよりは、それすらも包括した人間賛歌に聴こえる程の愛そのものの素晴らしさを情熱的に謳ったもので、この広い地球において誰もが「愛の種族」であるという意味で「Love Tribe」なのだろう。

 

Aメロは同じフレーズを繰り返すところがエレクトロ的であり、ジャジーなピアノとよく絡んでいる。Bメロでもそのまま同じようなフレーズが続くが、ボーカルの音程の幅が広がっていき、最後の方にはストリングスも入り盛り上がりを見せる。

 

サビの盛り上がり方は素晴らしいのだが、何が素晴らしいかってジャズやハウスという対極的なジャンルを織り交ぜて、それを丁寧にポップスに落とし込んでいるテクニックだ。即興的なジャズにしてもミニマルなハウスにしても、そもそもサビなどという概念は存在しないのに、双方に喧嘩させず穏便に同じ席に座らせ、ポップスとして漁夫の利を搔っ攫うような落とし込み方である。豚肉とキャベツは互いに味も含んでいる栄養分も全く違うが、回鍋肉なんかで上手に調理して一緒に食べると、それぞれの栄養分が助け合い、単体で食べるより体に良かったりする。この料理上手さがJazztronikの凄さなのだが、この喩えでいいのかどうかは自信がない。

そういえばPVで踊っているのはTRFのSAMだったりする