ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

INO HEAD PARK/夢幻航路

「移動型テーマパーク」を掲げるINO HEAD PARKを初めて知ったのは、15年ぐらい前の地上波の深夜音楽番組だった気がする。INO HEAD PARKというバンド名は、彼らが初めてセッションをした日の飲み会の帰り、バンド名を決める時に歩いていたのが井の頭公園だったことが由来だそうだ。

 

このバンドについて語る前に、まず曲を聴いてもらいたい。

曲調はキャッチーなのだが、イントロは16分でキックがドコドコなるし、ギターの音作りはゴリゴリのヘヴィメタルのように重厚だ。しかしボーカルは所謂「ビジュアル系」の歌い方だし、シンセはトランス風だし…。そして謎のダンス。海賊の船長みたいなボーカル「DUTCH」や謎のマイクマン「JETTER MIC」がとにかく踊りまくる。スリラーやったり、これ、ダンスミュージックって言っていいのだろうか?さらにメタル調のギターソロの後に唐突なラップが入ってくる。ジャンルがてんこ盛りすぎるだろ。

 

メンバー全員違うジャンルが好きで、それを特に譲り合うこともなく、「まあ色々集まったことだし、一回全部足してみるか」とでも言って作ったような魔曲。でもその完成度は高く、一度聴いたら忘れらない。私は一度聴いた後、バンド名を失念してしまったのだが、この曲のメロディーは十年以上脳内に流れ続け、一年半程前に当時の番組を録画したDVDを見つけて、ようやく突き止めることができた。遊園地のライトが再び灯ったのだ。

 

またこの曲は転調の仕方が面白い。サビやイントロは変ホ長調なのだが、Aメロで急にロ短調へ変わる。フラット3個の調からいきなりシャープ2個の調だ。情緒もへったくれもあったものではない。しかしBメロの5小節目からスッと音が一つ上がり、極めて自然な形で元の調に戻る。入りは不自然だが帰りは非常にスムーズ。「おおっ!?」となったところで一番盛り上がるサビがやってくる。構成が素敵。

 

総じてとっても楽しい曲。ライブで聴いて踊れたらすごい気持ちいいだろうなあ。しかし10年前に活動休止しているため、それは叶わない…と思ったら、当時のメンバーが全員揃っているわけではないものの、今年に入ってSEX MACHINEGUNSと一緒にライブ活動をやったりしていた。なるほど、どっちもSUSSYいるもんね。