ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

すかんち/YOU YOU YOU

さっき調べてわかったことなのだけれど、「天才てれびくん」って2023年現在も放送されているそうだ。私が見始めたのは番組が始まったばかりの丁度30年前のことであり、すごい長寿コンテンツだなあと、驚いた次第である。

 

テレビゲームに支配されたテレビが人類に反乱を起こした世界で「てれび戦士」なる子どもたちがメディアタワーに集結し、面白い番組を作ってゲームからテレビを取り戻すべく、バラエティーに挑戦するというものだ。といっても物心がついたばかりの私にそんなストーリーなどわかるわけもなく、なんか知らん子どもたちがCGのゲームに挑戦したりアニメの世界とコラボするのを、夢中になって見ていたのだ。

 

そんな重厚な世界観はさておいて、この番組の初代EDテーマである、すかんちの「YOU YOU YOU」について語りたい。

野球応援のリズムやフレーズを彷彿とさせる、ROLLY曰く「野球ロック」であるこの曲は、Sweetの「Teenage Rampage」とStatus Quoの「Burning Bridges (On and Off and On Again)」をオマージュした、バリバリのハードブギ調で始まる。

イントロや間奏ではワウを効かせたギターソロが響く。間奏はなぜか「リボンの騎士」のOP。

リズムや一音ずつコードが降りていく所はUriah Heepの「Look at Yourself」っぽい。

とにかくオマージュの嵐だ。多分私がわからない曲もふんだんに使われているのだろう。The Avalanchesがサンプリングの鬼だとしたら、ROLLYはオマージュの鬼なのだ。

 

またこの曲全体を通して言えることとしては、とにかくコードがシンプルなメジャーコードが多用されることである。セブンスコードなんて一つも使われていないのではないか。

 

それなのにこの曲は、ちょっぴり切ないのだ。サビの要所々々でマイナーコードを多用したりすることもあるのだろうが、これだけ洋楽の陽気な曲をオマージュしておきながら、歌詞がセンチメンタルでちょっぴり物悲しいのである。要約してしまえば「突然やってきたミステリアスな転校生の女の子がクラスメイトたちの心をガッチリ掴んでしまったのだが、実はその子は宇宙人であり、UFOに乗って宇宙へ帰ってしまった」というもの。

 

風が通り過ぎたようにあっという間の出来事で、でも子どもの心の一ページに刻み付けられるような、そんな感じ。それは私にとっての「天才てれび君」と同じなのかもしれない。