ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

ノリアキ/Father's Day

今日は父の日ということで、こんな曲を。

ノリアキといえば水野敬也の「後輩オーディション」で選ばれ、「デビュー」と「Unstoppable」を引っ提げてデビューした「引きこもりミュージシャン」である。特に「Unstoppable」は知名度が高く、ガリガリの青年があえてジャラジャラとしたアクセサリーをつけ、外面重視のラッパーを皮肉るという「リアル」を前面に押し出したラップが高評価を得ている。

役者としても活動している

そんなノリアキのアルバム「This Is da Music.」に収録されている「Father's Day」であるが、Dragon Ash featuring Aco, Zeebraの「Grateful Days」を面白いぐらいにオマージュした一曲となっている。Kjを彷彿とさせる(?)落ち着いたフロウと、Zeebraを彷彿とさせる(?)ガラガラ声のフロウを、一人二役で再現しているのだ。

 

最初のヴァースにはきちんとストーリーがあって、雨の日に妹からのメールで催促があり、父の日に気づいて感謝の想いをラップするというものになっている。「軽快なrhythm」だとか「百合の花」だとか、本家を知っているとクスリとくるワードチョイスが光るラップに仕上がっている。フックの三連符ラッシュもカッコいい。

 

セカンドヴァースはZeebraよろしく「俺は山形生まれ ファミ通育ち」から始まる。「ダーティなやつらをかいくぐって」「生き殺して潜り抜けた修羅場」など、言葉自体はなんだかアングラだが、よくよく見てみるとアングラのマッチョな雰囲気を避けている様子が伝わってくる、彼の「リアル」がそこにある。

 

音作りも面白く、シタールっぽい音や、サンプラーを通したようなオープンハイハットはそこかしこで使われているのだが、突然ディストーションギターが入ったり、スラップベースや和太鼓まで聴こえてくる。どれもチープな音なのだが、トラックとしての完成度が高く、それもまた味わいになっているのだ。

 

とてもカオスなのに、ちょっぴりチルで梅雨時に聴きたくなる、妙な魅力を持っているのがこの曲なのである。

KAORI./Tears Infection

時は2007年。深夜アニメというものを覚えた私が、シリアスでストイックな作品を探し求めていたあの頃、「Myself ; Yourself」(以下マイユア)と出会ってしまった。そもそもこの放送枠、School Daysの後枠だったわけで、その時点で変なニオイがプンプンしてたのよね。

 

テレビ大阪で金曜深夜28:05~28:35(もはや土曜朝)に放送されていたそのアニメは、学園王道ラブコメだという触れ込みだった。こんな時間に王道ラブコメなんてやっているわけがないだろうと思い一話を見てみたところ、確かに普通のアニメのようだった。主人公「佐菜」(エロゲーを所有しているため、当時の視聴者からは「兄弟」と呼ばれ親しまれた)は幼い頃に住んでいた故郷に一人で戻ってきて、そこで昔の幼馴染と学校生活を送る。うんうん、王道じゃないか。

 

しかし一人暮らしを始めた佐菜の元に母親が連絡を入れてくるシーン。佐菜は母親に言い聞かせるように「わかってる。大丈夫だって、明日からちゃんと学校も行くから…」と答える。ちょっと普通の会話じゃないなあ、これなんかあるなあと。

ここで私は、得も言われぬ闇を感じた

そして佐菜はヒロインの菜々香と会うのだが、運命の再会だというのに、佐菜は菜々香のことを忘れてしまっていた。これに怒った菜々香がすごくツンツンするようになるのだが、回が進むごとにデレるようになっていく。ところがこのヒロインにも何か影があるのだ。

これは最終回でわかるんだけどね

また佐菜の友人朱里&修輔姉弟もムードメーカーとしてクラスを盛り上げるのだが、この二人も家庭がしっちゃかめっちゃかになっており、やはり穏やかじゃない。

姉弟です

あまりネタバレになる画像は貼れないが、タスケテポストとか、菜々香のライバルかと思いきや別のベクトルで一番ブッ飛んでた星野さんの独白とか、サイコ猫ババアとか、リスカップルとか、視聴者が引くぐらいに毎週人間の心の闇を描き続ける、狂気のアニメだった。やはり一話で私が感じた影のニオイは間違っていなかったのだ。

殺人未遂事件の加害者と被害者を同じ病院に入院させるなよって、当時思った

さて、曲の話をしよう。こんなに思い入れのあるアニメなので、OPも大好きだったりする。

学園祭をテーマにしたPVがあるのだが、こんな楽しいシーンは本編で一切存在しない

全体的な音作りは結構ハードであるのだが、まるで登場人物の人間関係や蠢く葛藤を描いているような感じがする。そこにイントロから流れてくるピコピコ音がすごく良い作用をしている。まるでこの青春ジュブナイルを、ヒラヒラと舞い飛ぶ花の高みから俯瞰して見ているような音なのだ。この音がこの曲を名曲たらしめているといっても過言ではない。

 

Aメロは歌詞がいきなり重めだ。誰にも見せない心のトラウマを見つめ、ふさぎ込んでいるような情景が描かれる。ドラムのフレーズもタムが多めでシリアスさを際立たせており、これが16小節続くのだ。

 

しかしBメロで主人公は立ち上がる。その理由が泣いている「キミ」の存在だ。「自分じゃない誰かの為なら」主人公は強くなれる。そこに「ハッ!」と気づいた時の気持ちがあるからか、Bメロからオケヒが聞こえてくるのもニクイ。

 

「僕はただ…」というエンジンを吹かすような入りから、サビは大いに盛り上がっていく。涙に濡れる「キミ」に対し、主人公は「あの場所に帰ろう」「だからもう泣かないで」と優しく語りかける。最後に「綺麗な未来が僕らを必要としている」と心強い励ましをするのだが、この志倉千代丸氏の文章のセンスの良さったら。まず主語が自分たちじゃなくて「未来」なんですよね。「一緒に未来へ向かおう」という優しさ。そして「未来が待ってる」とかじゃなくて「必要としている」。これだけで言葉がすごく力強くなるんですよ。この曲の視点って佐菜視点なんだろうけど、優しさとカッコ良さがすごい佐菜らしいんだよね。さすが我らが兄弟。「一級フラグ建築士」と呼ばれるだけある。

 

そして二番のサビのほうが力強かったりする。「キミがキミのままで あの日に帰れなくても大事な事は この先に描こう」「今もこうして時は続いてる」「僕らは意味があってここにいる」。本編で佐菜を襲う境遇って過酷なのよ。友人を失い、星野さんを励まし、菜々香のトラウマを真正面から受け止め、そして己の心の傷までも克服した。そんな佐菜にこんな言葉を言われたらさあ、どんなヒロインでも落とせちゃうって。

 

そんな「Tears Infection」だが、誰かがタイトルを「もらい泣き」と意訳していた。なるほど上手いこと言ったもんだ。しかし歌詞のスタンスは「泣かないで」なので、これだと矛盾してしまう。個人的には「Tears Infection」→「もらい泣き」→「キミの涙をもらう」という二重の意訳があるのではないかと思っている。なんか「true tears」みたいになってきたな。

 

アニメもOPも私の人生に大きな影響を与えるほど大好きなコンテンツだった。今も当時の友人とマイユアについて懐かしんでは笑い、カラオケでOPを歌ったりする。「素顔のままであの場所」に帰してくれるわけだ。それどころか先日はいくらも年下の知り合いにこのアニメを布教してしまった。そう考えると私の「Infection」は一生治りそうもない。

つのごうじ&ピタゴラス/ゴマゴマゴーマ

五星戦隊ダイレンジャーは、1993年に放送された戦隊モノで、中華をテーマに作られたオリエンタルな味付けが特徴だった。主人公も龍や麒麟などの中国の伝説の生き物をモチーフにしているし、格闘技は中国拳法だし、必殺技も全部漢字だし、主人公チームの博士的ポジションは「道士」だ。終盤で敵組織のボスが放伐によって代替わりするなど、大人になってから「これも中華思想だったのか…」とわかるような部分があるのも面白い。

 

正直あまり覚えていないジュウレンジャーと比べて、ダイレンジャーは今でも覚えていたりする。特に終盤でダイレンジャーの理解者道士嘉挧が、敵組織「ゴーマ」の幹部であり、ダイレンジャーたちを倒して変身能力を奪って裏切る展開にはショックを受けた。実は嘉挧は敵組織の穏健派であり、過激派の幹部シャダムとの戦いに勝ち、ゴーマを穏健な組織に改革して、平和な世の中を作ることが目的だった。しかしシャダムには勝てず、駆け付けたダイレンジャーに看取られて、嘉挧は最期を迎えた。このシーンに私は生まれて初めて、フィクションで涙を流した覚えがある。

 

ゴーマの幹部は全員泥人形で出来ており、悲鳴をあげながらそれがボロボロと崩れていく姿は幼少期の自分にとってトラウマだったし、最終回はダイレンジャーの孫たちが、新たなダイレンジャーとして戦っていたりと、とにかく記憶に残る戦隊モノだった。

 

さてそんなダイレンジャーの敵対勢力ゴーマのテーマソングが、つのごうじ&ピタゴラスの「ゴマゴマゴーマ」である。

ここまで中華がどうとか書いたが、なぜか曲調がヒップホップなのだ。恐らく人生で初めて聴いたラップがこの曲であるだろう。トラックはGファンクに近いだろうか。ファンクやソウルっぽさがバリバリに出ていて、イントロのホーンセクションやワウのかかったギターのカッティング、R&Bで聴くような色気たっぷりのシンセベース、ループするハモンドオルガンなど、編成があまりにもオシャレすぎる。Stevie Wonderの「Superstition」でもリスペクトしているのか?ってぐらいだ。悪のテーマソングは子どもに共感させてはいけないからといって、まさか曲調までアダルティーに仕上げてくるとは…。

 

そんな頭を振れて踊れてしまうトラックに乗せるラップは、子どものワガママやマナーの悪さ、だらしなさを肯定する、いかにも悪らしいものになっている。しかしその真意は、寄ってきた子どもを「地獄への生贄」にするためであり、自らを「黒い心を持つ」「邪悪の征服者」と言い、悪の本性を見せつけるのだ。恐ろしいワードであるが、なにせトラックがオシャレなので、その悪さもカッコいい。

 

一方で爬虫類などを好む子どもをダークサイドにしたりと、今にして思えば古い時代の偏見が感じられる部分もある。また「ギックリ腰」や「こむらがえり」を悪いものとして並べているが、ここだけどう見ても大人の苦しみである。一緒に聴いている大人を笑わせるために取り入れたのだろうか…。

 

とかくヒップホップはワル自慢が多いが、彼ら以上のギャングスタラップって存在しなし、今後も出てこないだろう。だって世界征服を企む悪の組織そのものなんだもん。

 

そういえば最終回は50年後の世界の話だったため、2043年の戦隊モノは「ダイレンジャー2」になるのだろう。それを見るまでゴーマに睨まれないよう、頑張って生きていこうと思っています。

Hayley Westenra/Prayer

Celtic Womanのメンバー、Hayley Westenraの「Prayer」という曲がある。「Odyssey」というアルバムに収録されているのだが、ARIKAと任天堂が作った「FOREVER BLUE」というゲームのBGMで、この曲が使われているのだ。

 

FOREVER BLUE」というのはWiiで発売されたゲームであり、海上駐在員の主人公が架空の島「マナウライ島」の周辺の海をダイビングで探索し、魚を見つけたり、ダイビングスポットを発見したり、ダイビングガイドをしたり、イルカと戯れたりできる。一応ホワイトマザーという伝説の巨大白クジラを探すストーリーはあるのだが、比較的自由度が高いので気の向くまま冒険をすることもできる。倒すべき敵もいなければ、何かに追われてミッションをこなす必要もなく、お金のようなものすら存在しない。魅力的なキャラクターは人間より動物のほうが多く、そもそも主人公は船と海をいったりきたりする生活を送るだけである。

そしてここまでの文章でお察しの通り、私はこの「FOREVER BLUE」というゲームが大好きなのだ。というわけで今回はHayleyの曲の話だけではなく、「FOREVER BLUE」の話を書き連ねたいと思う。

 

パワプロWii FitをやるためにWiiを買った私は、次に遊ぶべきゲームを探していた。ネットで色々なレビューを見て回っていた時に見つけたのがこのゲーム。まずジャンルが「海中散策」という全く聞いたことのないもので、Wiiリモコンでゆったりと泳ぐという謎のゲームに興味を惹かれ、購入した。そんな意味のわからないゲームがWiiでしか遊べないなら、そりゃ買うしかないだろう。

 

早速始めてみて、いきなりOPで流れてきたのがHayleyの「Prayer」。

なんて神秘的なアカペラだろうか。かつでここまで厳かで優しい気持ちになれるゲームのOPがあっただろうか?Wiiリモコンを握ったまま、私はしばらくこの曲をボーっと聴いていた。ゲームを始める前に私のハートはもう海の底へ沈んでしまったのだ。

 

そして始まる海の生活。ハッキリとした目的がないため、人によっては魅力がわからないだろうし、事実自分の友人にやらせてみたところ「これは何が面白いの?」と言われる始末だった。しかし個人的には大当たりだった。なんと楽しいゲームなんだろう!何が楽しいかって、オープンワールドよろしく、雄大な海を箱庭のように貸し切ってしまえて、その世界に埋没することができる点である。「この綺麗な魚はなんていうんだろう?」「あの洞窟の中には何がある…?」「次はどこへ行こうか…!」というワクワクがひっきりなしに押し寄せてくるため、退屈どころか非常にエキサイティングなゲームであった。

水中大鍾乳洞の奥地である動物と出会った際は、その場所の美しさと神秘的なBGMも相俟って鳥肌が立ったし、「奈落」と呼ばれる深海に潜った際は、上下感覚が無くなるほどの暗い海を震えながら泳ぎ、そこでこちらをギョロリと見つめるマッコウクジラに度肝を抜かれたものだ。ホワイトマザーのシナリオは感動的だったし、シナリオクリア後の幽霊船や海底遺跡も楽しませてもらった。

 

言いたいことはこれでもかなり絞ったつもりだが、このように「FOREVER BLUE」を私に語らせると愛が溢れ出て仕方ない。人によっては退屈と思われるこのゲームを100時間近くプレイしたのだから…。

 

そこから二年の月日が経っただろうか、なんとこのゲームに続編が出たのだ。「FOREVER BLUE 海の呼び声」というタイトルなのだが、なんと無印を遥かに超える名作に仕上げてきたのだ。そのゲームに対する愛を書き連ねると、今作以上の熱量に従って字数がとんでもないことになるので、またいずれ別の記事で吐き出したいと思う。

 

いずれにせよ私はここからHayleyやCeltic Womanの音源を漁るようになったし、ゲーム的にも音楽的にも人生のターニングポイントだったといえる。2018年に任天堂がこのゲームの商標登録を行っていたので、続編を期待したのだが、そこから3年半の間なんの音沙汰もない。しかしそれでも私はこのゲームの“Player”として永遠に待つだろう。そしてもう一度あの青い海にダイブするべく、今日も“Prayer”として祈り続けるのだ。

KAGAMI/Tokyo Disco Music All Night Long

KAGAMIがこの世を去って今日で12年。私はDISCO TWINSの「Juicy Jungle feat. 吉川晃司」で彼を知ったので、その話はまた追々書こうと思っているが、その後WIRE 06でトップバッターとして出演していた彼らを見て、そこでかかっていた「Tokyo Disco Music All Night Long」に心を奪われたのだった。

なんとパワーに溢れた曲だろうか。サンプリングの並べ方を見ると、曲としては粗削り感もある。「緩急」どころか「急急」なのよね。とにかく自分の好きな音を全部詰め込んだって感じ。「寿司と焼肉とカレーとトンカツを一皿に乗せて、鳥の唐揚げをトッピングした」ような大人のお子様ランチ的な。だからフロアで聴いている人が否が応でもハイテンションになっちゃう、“踊らせる”曲である。

 

ジャンルとしてはテクノなんだろうけど、サンプリングの一つ一つが、都会のクラブの煌びやかや華やかさ、爆音の騒々しさのピースになっていて、なるほど確かに「Tokyo Disco Music All Night Long」というタイトルしかないな、と思ってしまう。ヴォコーダーの遊び具合も好き。

 

以前も書いたが、DISCO TWINSのせいで、大学のバンドサークルの自己紹介で「テクノが好きです」とか言ってしまったのだ。みんな「???」ってなるよ、そりゃ。

 

そういえばWIRE 06って中々始まらなかった思い出がある。プライドの巻き舌リングコールみたいな声のナレーションがずっっっっと煽っていて、滅茶苦茶引っ張っていたなあ。あの時の映像がどこかにあるはずなんだけど、さてどこへ行ったか…。

KAGAMIの死後に「Tokyo Disco Music All Night Long」をかける石野卓球

ketchup mania/涙☆バキュームサウンド

ketchup maniaを知ったのは「PLEASE! MARRY ME!!」という曲がきっかけだったが、その後彼らの過去の音源を掘っていった結果、「涙☆バキュームサウンド」が大好きになった。

HIROの住んでいる部屋で撮影したPV。枕がヤバイことに…

ポップ色強めのメロコアサウンドが特徴的なバンドである。2000年代といえばメロコア大隆盛の時代だったが、ゼロ年代前半の硬派なメロコアに比べれば曲自体の音圧は高いものの、ドラムのサウンドがやや軽めになっている。一方でそのドラムの手数は多く、そこにボーカルのHIROのキュートな声が乗っかることで、ポップさが強調されるようになっている。

 

歌詞もまたポップである。どうにもいかなくなって落ち込んでいる時のテンションを、この曲で上げてしまおうという歌であるが、「フルーツチューン鳴り出せば別世界へワープ」「耳もくらむほどの衝撃をこの胸に!」「ピンク色ワード ブラックなリフ」という、ちょっと他では聞かないようなHIROのワードセンスがビンビンに冴えわたっている。

 

総じてこのバンドの魅力とは、“磨き上げられたキッチュさ”というものだと思っている。言葉だけ見ると矛盾しているようだが、この曲を聴けばそんな矛盾は軽く吹き飛んでしまう。

 

余談であるがこのバンド名の由来は、飛び散ったケチャップを見たメンバーが「ケチャップマニアか!」という意味不明なツッコミをしたことによるのだとか。バンドの成り立ちからすでにキッチュが過ぎる…。

奥華子/小さな星

奥華子氏(以下奥さん)を知ったのは、スカパーの深夜のPV垂れ流し番組で出会った「ガーネット」という曲だった。同氏の曲を掘り下げていくきっかけとなった一曲だったが、それ以上にインパクトを受けたのは、こちらも偶然聴いた「小さな星」だ。

 

他の曲と比べればわかるが、この曲の編成は奥さんの中では割と珍しかったりする。イントロが重厚なストリングスアンサンブルから入る。そこに曲の中心で使用されるエレピが合わさってくる。ピアノを多用する奥さんだけに、エレピが非常に新鮮に聴こえる。

 

Aメロは低音がなく、比較的高めの音で構成されている。コードはメジャーが多いが、合間々々のいいところにセブンスやマイナーコードが入り、歌詞も相俟って揺れ動く不安な気持ちを表現しているようである。そしてBメロに入ると、沈みゆく夕陽を表しているのかマイナーコードが増えるものの、歌詞がAメロに比べて希望を見出すようなものになる。ベースが入ることで、不安な暗闇というよりは、落ち着いた夜をイメージするかのような雰囲気が醸し出される。

 

サビではアコギやドラムが入ってきて、いよいよ豪華な編成となる。感情の昂りもピークを見せ、編成も歌詞も一番の盛り上がりとなる。その一方で個人的に面白く思っているのが、全体的に音が低い点。もちろん高い音も散見されるのだが、特にサビ前半の部分は音としての盛り上がりが意図的に抑えられているような気がするのだ。切ない気持ちを吐き出しているサビではあるが、同時に不安な自分に言い聞かせ、自分を宥めているのかなあと、私は勝手に思っている。だってこの曲中の言葉って、遠距離恋愛をしている恋人に直接伝えていないんだもんね。

 

そしてこの曲然り、HEATWAVEの「オリオンへの道」然り、メガマソの「トワイライトスター」然り、こうしてブログに書いて気づいたことだが、やはり人は星空に希望を見出すものなんだなあと。