ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

eufonius/phosphorus

eufoniusで一番好きな曲は?」と聞かれたら、「リフレクティア」かこの曲「phosphorus」と答えるのが私です。

リフレクティア」は本編「true tears」を見ていたから、思い出補正がかかっている部分もあるんですよ。でもこの曲がOPになっている「神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS」というアニメは見たことがないんです。そういう意味では補正無しでここまで好きになれるパワーが、この曲にはあるのかも。

 

サビから入るのってeufoでは珍しくて、でもこの切ないサビを8小節だけチラ見せしておいて、Aメロに入るっていうニクイ演出。Aメロも含めて割とノーマルなコードしか使っていなくて、じっくり聴かせるなあと思ったら、Aメロの終わりから転調が始まり、Bメロでコロコロと変わっていく。このね、螺旋階段を上るような転調がいいんですよ。

 

さらにアコギやパーカッションも入って、うねるような生を感じられるのがこのBメロ。そしてそれまでシャープが付きまくっていたコードから、一切の黒鍵が取れて「この身体を駆け抜ける」というところでDm7のコードがかき鳴らされたところで、ぼんやりしていた意識が完全に覚醒した感じになる。そしてサビへ…という展開が圧巻よねえ。

 

そして冒頭でチラ見せしたサビがここでようやく聞ける。「誰も知らない強さを連れて 二人進み続けて」とあるように、すごくまっすぐなメロディと歌詞。本編を見てないからわかったように語るのは口幅ったいのですが、主人公とヒロインの強い意志が窺える。「リフレクティア」が冬の景色に踏み出していく弾むような曲であるのに対し、こちらは揺るぎない信念で勇ましく踏み出していく曲であり、対極的でありながら、どちらも何かが始まっていく様子を素晴らしいクオリティで表現した名曲なんですよね。

サビで登場人物たちが弾いている謎の楽器が、曲調に合っていて好き

dj honda/顔水 (feat. 紅桜)

いやあ、久々に聴いて即買った曲だった。

 

今年の9月にdj hondaがアルバムを出したんだけど、GANSUIというトラックに紅桜をフィーチャリングした「顔水 (feat. 紅桜)」という曲が入っていて、これが渋いのなんの。

紅桜の歌声ってソウルフルでジャジーで歌謡調なんすよね。この歌い方できるラッパーを他に知らないぐらい。こういう哀愁漂うトラックと相性抜群。

 

んで、他の曲も混ぜながら裏路地でライブやってる動画があるんすけど、

自分の良さとか魅力を十二分に発揮した振る舞いが、いかにもアーティストって感じで渋い。

 

The View/Wasted Little DJ's

2000年代のUKロックバンドのデビュー曲って、すごい好きなんですよ。古き良きイギリスの香りに若さ溢れる初期衝動の波が乗って、エネルギーがうねっている気がしますよね。

 

そんなわけで今回はThe Viewの「Wasted Little DJ's」。

懐かしいなあ。この曲も高校生の時に偶然見つけて、キャッチーなサビにやられたものだ。高音と低音のユニゾンで「Astedwae ittlae ejaysdae~」と歌う部分は口ずさみたくなる。そもそもこんな単語見たことないぞ…?と思って調べたら、「Pig Latin」という言葉遊びらしい。「Wasted Little DJ's」を並び替えて言葉をくっつけているのだとか。

 

で、そこから2番Aメロ…かと思ったら「Split visions of a talkative therapy」と高い声で歌い、そのまま1番Aメロと異なるメロディーが続く。サビも「everybody danced like them」のところが1番と異なるコードを一つ入れる。

 

Cメロで突然走り始めたり、コーラスを入れたり、とにかく聴いていて飽きさせない。The Viewがやりたいこと、できることを全部詰め込んだ曲として世に送り出した感が満載で、眩しいったらないよねえ。

 

ちなみにこの曲、ライブでやる時は全体的に走りまくっていることが多い。なんで年と歳を重ねて逆に疾走感増すんですかね。

そして今更ながら、この曲のジャケットが記事トップの画像なんだけど、あの二人が「Wasted Little DJ's」?まさかの実在の人物??

 

BABYMETAL/Road of Resistance

BABYMETALを初めて聴いたのが、この「Road of Resistance」という曲。

わかる人にはわかる、すさまじいDragonForce(以下ドラフォ)節なんですよね。オマージュにしては恐ろしいクオリティ。「これもしかしてSam TotmanとHerman Liが作曲してるんじゃね?」と少しの間思い込んでいたんだけど、ギターアレンジで参加してるだけで、作っているのは日本人らしい。マジか。「本家が作りました」って言われても信じますよ。「Forever」とか、ドラフォで何回聴いたかわからん単語だもん。

 

冷静に考えてみると、ドラフォのメンバー呼んできてギター弾かせるのも凄いんだけどね。ギターのピロピロとかリフにしても、ちょっとアジアンテイストのソロとかも、もうドラフォでしか聴けない手癖が満載だもの。この曲は「東の空を~」で始まるんだけど、東アジア風のメロディーが持ち味のドラフォだから、そこをチョイスしたのかなあと勘ぐってます。

 

ドラフォのメンバーは「自分たちがライブで演奏するわけじゃないから、思い切り難しくしてみよう」と難易度の高いアレンジをしたものの、後にライブに出ることになってしまったので、自分たちの曲の練習を必死でやったっていうエピソード、好き。

オナペッツ/大天使

官能的なシンボルを自称しているのでしょうか。すごい名前ですよね、オナペッツって。

 

美大出身でドラァグクイーンの彼女達がデビューしたのは1994年。2枚目のシングルでなぜか浅倉大介プロデュースになり、この「大天使」という曲を発表したわけでして。

いいですねえ、このジャキジャキとしたカッティングギターとJD-800ピアノのコラボの90年代浅倉節。T.M.Revolutionを始める前の、accessっぽさがありつつも、accessにあるワイルドさが薄い感じ。歌声と歌詞の持つ特質なんですかね。

 

Bメロといいサビといい、JDピアノのバッキングが歌詞と合っているところが、リズミカルで好き。何気に二人の持つ声色は高低差もあって、個性が分かれてるんですよね。基本的に二人の声は揃っているんだけど、エモーショナルなところでちょっとズレもあったりして、そこがいい。サビの「STARDUST KISS」をどれだけ気持ちよく歌うか、という感じがするのも良き。一音ずつ上がっていくのがね、一番いいところで溜め打ちを放つみたい。

 

歌詞は貴水博之でも井上秋緒でもない、オナペッツのメンバーである宝ルビーによる作詞。ちょっとaccessに寄せてるというか、この二人がなんとなくaccessファンなんだろうな、と思わせるんだけど、隠し切れないセンスが出ちゃってるっていう。だって「愛の使者」というキューピッドのような存在を歌った曲のタイトルが「大天使」なんだもの。しかも宇宙の話まで出てきて、もうスケールが大きすぎるんですよね。このセンスは今までの浅倉曲になかったような気がする。

 

なので浅倉節全開ながらも、大ちゃんを左右で挟んで独自のセンスをトッピングしたらこうなるんじゃないか、という異色の作品なんだと思う。

月村真由&北条麗華/ユビキリ

2007年の秋に「ご愁傷さま二ノ宮君」というアニメが放送されていました。主人公の下にサキュバスヒロインとツンデレお嬢様が押しかけてドタバタラブコメを繰り広げる…という、今では逆に新鮮なぐらいの王道アニメだったような気がする。たぶんちゃんと見ていなかったのであんまり話は覚えていないのだけれど、確か最終回でツンデレお嬢様をいつもニコニコとたしなめていた執事キャラがガチギレして、真剣な表情で主人公と殴り合いをしていた覚えだけはあるんですよ。なんかそのギャップに「えっ、怖っ…」と思ったような。

 

しかしですね、このOP曲「ユビキリ」とED曲だけは脳裏に焼き付いているどころか、2024年現在も焼きたてホカホカでリピートしまくっているわけでしてね。

この曲は作詞・作曲家の三浦誠司さんのアニメデビュー提供曲でもあるんですね。冒頭からトランスっぽいシンセの音がタップリと聴こえてきて、弾けるようなスネアもクラップも元気いっぱいなラブコメの本編とすごく相性がいい(編曲はFuntaだけど)。全編通してシンプルなコードで構成されているのも、私好み。Bメロの二長調からト長調へ転調するところ、二人で声を合わせて「願いをかけたら」のあたりでゆったりと歌う所は、うっとりしちゃうよね。

 

Bメロ~サビは意外にもマイナーコード多めなのに暗くならず、ちょっぴりセンチメンタルな乙女心を表しているかのようで、そこもこそばゆい。

 

そしてサビの最後の「ああハートがきゅっとなるような」の「きゅっ↑」っていう、ここですよ!月村真由(CV:門脇舞以さん)の歌い方!耳へ快感を与えてくれるのだから、さすがサキュバスですわ。

 

この曲にハマってから17年。今でもこのサキュバス達は、私の耳から離れてくれそうにないです。

Zeebra/東京's Finest feat.BIG-O

「TOKYO'S FINEST」というアルバムは面白くて、前作でオラついていたジブさんが、「こんな一面もありまっせ」とばかりに、多様なラップをしていたりする。

 

その中でも脱力的で、それでいてクールな一曲がこの「東京's Finest feat.BIG-O」だ。

Banu GibsonBetty Boop」のサンプリングから始まるINOVADERのビートは、もったりとしたホーンセクションと相まって、ダラっと聴ける仕上がりになっている。

 

そこに入るZeebraのラップは、Zeebraらしさ満開のセルフボースティング。派手な生活を送る自分をスクープするフライデーに「マジうざいぜ」と言いながら、数秒後には「撮りたきゃ撮りなパパラッツィ」と開き直るジブさんがカッコいい。

 

しかしこの曲の一番の魅力はBIG-Oこと、SHAKKAZOMBIEのOSUMIのラップだろう。

 

ウイッス ジブさんひさしぶり

そうそう青山のステーキ屋ぶり

Uh oooh 何そのBling bling

重さからしてグランプリ 

 

「俺の日常はマジハンパないぜ!」と言っているZeebraに対して「久々っス!カッコいいブリンブリンっスねえ!」と、それまでの流れをガン無視して愛嬌ある会話調でラップをするOSUMIのヴァースが面白いよねえ。

 

そして力の抜き方とパワフルで重量感のあるフロウが、この曲のビートととても相性がいいのだ。ちなみにZeebraとOSUMIが食べに行った「トニーローマ 青山店」というステーキ屋は実在したそうだ。

 

後半でOSUMIは「まだ足んねぇ 山積みヤリてぇコト まだあるぜオモシれぇコト」とラップしているが、まさかこんなに早く亡くなるとは…。