ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

fripSide/only my railgun

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以前の記事にも書いたように、私はfripSideにはナオプロから入ってしまった。

ナオプロとしてのデビュー時、fripが萌えソングを歌う様に衝撃を受けたファンもいたようだが、逆に私は通常のfripの曲を聴いて「えっ、fripってカッコいい歌も歌うのか!」となったわけだ。

 

そんなfripからnaoが脱退し、spiral of despair -resurrection-でRita氏が急遽ボーカルとして代役を務めた後、ジョルノこと南條愛乃氏が二代目ボーカルとして加入し、発表されたのがアニソン史に燦然と輝く名曲「only my railgun」だ。

まさかここまで売れるとも思っていなかったのか、後のPVに比べてお金がかかっていないのはご愛敬。ついでに言うとsatの顔が全然映らない

アニメ「とある科学の超電磁砲」のOP主題歌として抜擢されたこの曲を聴き、私は「ついにfripが帰ってきた!」ではなく、「なんだこの曲、今までのfripとは違うぞ…!」と思ったことを覚えている。ボーカルが代わったことは別として、音一つ一つがかつてのfripを彷彿とさせつつも、別の何かに進化しているような感じがした。

 

まず気になったのは音の丸さ。これはどういうことかというと、一期のfripの音って、すごく攻撃力が高かったように思うんですよ。尖っていて耳に冷たく高い音がザクザクと刺さってくるようで、それが休む間もなく全速力で矢継ぎ早に来る感じ。それは悪いことではなく、むしろそこがfripの良いところで、ファンからすると心地よく思える中毒性のある音。ところがこの「only my railgun」はなんとなく音が丸く、それでいて一つ一つの音がハッキリ聴こえるのだ。

 

メジャーレーベルから発売されたため、ミックスやマスタリングがそもそもインディーズの頃と変わったのだろうといえばそれまでなんだけど、新しいボーカルを迎え、新しいレーベルに移ったことで、新しい一面をsat氏が見せようと気合を入れたのではないかと勝手に思っている。メンバーや環境が変わったのに「相変わらずのfripをお楽しみください」では、「じゃあnaoでよかったじゃん」となってしまう。むしろ「こんなこともできるんだぜ」「ボーカル変えた意味があっただろう?」と新しい一面を表現するのがクリエイターなのではないだろうか。

 

それから声も含めた音の低さ。これはジョルノの声質によるものだと思うんだけど、一期で見られたようなやたら高いハイトーンは見られなくなった。この頃のジョルノはキャラソンをちょっぴり歌うぐらいで、到底歌手と呼べるような立ち位置ではなかったから、そんな声は出せないというのは仕方ないのだが、だったらジョルノの声質に合うような曲を作ってやろうと言わんばかりのsat氏の工夫が、新しい一面を見せるきっかけとなったのではないか。元々sat氏はジョルノの歌の上手さではなく、その透明感のあるクリアな声と自分の曲調との相性の良さに確信を持ち、それまではボーカルを楽曲の一部と捉えていたのが、「歌をもっと前に立たせたい」と思うようになったそうなので、“音の低さ”というのはジョルノあっての新境地だったのだろう。

 

後はもう説明することがないほど、この曲を初めとしてfripは爆発的なヒットソングを連発した。タイアップの良さ、PVに芸人を招く意外性、一期では考えられないほどの規模のライブ(元々一期fripはライブをあまりやらないユニットだった)など、話題になるポイントが全部詰まっており、今考えるとそりゃ売れるだろうなと思わずにはいられない。そして「一期fripも良かったけど二期もいいじゃん」というのが私の感想で、一期に続き彼らの活動を追っていくことになった。現在に至るまでも音源は全部集めているし、一期も含めて私の所有する曲の中で最も曲数が多いユニットとなった。しかしまあここまで長い付き合いになるとは。

 

そういえば2020年には、セルフカバーを配信していた。

もうね、ここに至るまでのジョルノの成長具合ときたら。11年という旅を経てふと後ろを振り返った感じ。まったくの別人の声なんですよ。洗練されたキレッキレのカッコいい声質。どちらが良いとかではなく、「あの時も良かったけど、今も良いよね」という、私が二期fripを初めて聴いた時と同じことを、二期の中でまた思い知らされたのだ。