ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

どうぶつの森シリーズ(村BGM編)

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中学生の頃、私はゲームキューブを買ってもらった。真っ先に選んだゲームソフトはスマブラDXだった。帰りの車で説明書を読んでワクワクしていたのだが、同じ車に乗っていた妹が選んだゲームは「どうぶつの森+」であり、そこで初めて私はこのゲームを知った。「村を作って動物達と暮らすゲームの何が面白いのか」と思っていたのはほんの最初だけ。プレイさせてもらったところガッツリハマってしまい、最終的にたぬきちのローンを私が最初に返したことで、妹の村には私の金の像が立ったのであった。

 

しかし私は満足しなかった。「そもそも村に自分の家を一つしか建てられないのはつまらん」と考えた兄妹妹は、各々がSDカードを一つずつ所有して、それぞれが村を立ち上げることにした。したがって一人で四人の主人公を動かせるようになったのだ。これによりイベントでの非売品やとたけけの曲を四つ手に入れることができるようになり、プレイの効率が向上した。

 

それでも私は満足しなかった。「現実の季節とシンクロしているから、別の季節のイベントが待ち遠しい」と考えた私は、もう一つSDカードを用意。半年時間を遅らせて南半球バージョンの村を作り上げたのだ。これにより私が動かす主人公は八人。そこから「どうぶつの森e+」も買ったことで、最終的にGCで私が動かしていた主人公は十二人となった。「森狂い」とでも呼べそうなプレイスタイルである。

 

時は経ち、ニンテンドーDSで「おいでよどうぶつの森」が発売された。受験も終わって一段落した私はもちろんこれに手を出した。大学へ入ってネット環境のない部屋に住んでいた私は、ヒマな時にどっぷりと森へ浸かり、夏休みのようにとにかく時間がある時なんかは一日中村づくりをしていた。窓の外を見なくても、上画面に映る空を見れば朝と夜を判断できるのだから、もはやどちらが現実かわからないレベルで、どうぶつの森は存在していた。

 

ところがその後、私はシリーズからすっかり足を洗ってしまった。反動というよりかは、他に面白いゲームがあったので、特に終わりのないどうぶつの森に時間を割くのが勿体なくなったのだ。Wii3DSで出たシリーズも距離を取っており、もう在りし日の思い出として語るぐらいが面白いのだろうと考えていた。そんな中発売されたのが「あつまれ どうぶつの森」。コロナで在宅時間が増えた時代に発売された本作は、凄まじい勢いで流行した。妹はもちろん、職場の同僚にも勧められたが、「もう自分は引退したから…」と、最初こそ手をつけなかった。しかしながらお盆周辺の連休、「さあ時間ができたぞ、何しよう」と思った私の頭に、このゲームが閃いてしまった。後は容易いもので、気が付けば一日で虫と魚を50匹ずつ捕まえるような、バグったプレイスタイルが十数年ぶりに蘇ったのだった。

 

前置きが長くなったが、このように私とどうぶつの森の付き合いはかなりディープかつサイコなのだ。そして本シリーズの魅力として欠かせないのが村のBGM。戸高一生氏の作るBGMは、村の生活を楽しく彩り、部屋のインテリアのピースの一つでもある。というわけで今回は、どうぶつの森の中で私が気に入っているBGMをひたすら挙げていこうと思う。なおとたけけの曲について語ると、さらに文章量が増えてしまうため、今回は「村BGM編」ということで、ひたすら村のBGMについてのみ語っていく。

 

まずは「どうぶつの森+」より午後5時。

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学校から帰ってきて電源を入れてプレイした時に聴こえてくるのは「午後4時」なのだが、その曲調はまだ昼っぽさが溢れている。ところが「午後5時」になった途端、夕日が沈んでいき、町にポツポツと明かりが灯る空気感のこの曲が流れてくる。「ああ夕方だ」と、この曲を聴くと脳が切り替わるのだ。したがって本作で最も印象に残っている村BGMだったりする。

 

次に午前8時。

この曲を聴いて思い出すのは夏休みである。午前8時のBGMなんて平日は聴けるわけがない。また説明するとややこしくなるので詳細は述べないが、私の家は土日に据え置きハードのゲームをやれる環境ではなかったので、休日であってもこのBGMは聴けなかった。そんな私が朝からこのゲームで遊べたのが夏休み。大体電源を入れるのが8時前後だったので、この曲から森の生活は始まる。「朝からゲームがやれるなんて!なんでもできそうな気がする!」という朝の澄んだ空気にワクワク感が混じった私の琴線に、この曲はそっと触れてくれる。思い入れの強い一曲である。

 

続いて「おいでよどうぶつの森」より「午後3時」。

大学が早く終わった時や、空きコマなどで電源を入れられるのが午後3時。どこか力の抜けた木琴、そっと響くアコーディオンと口笛、それらを支えるエレピとドラム、音の数は少ないのだが、昼が過ぎて丁度うとうとしたくなる朗らかな時間帯を見事に表現している名曲である。

 

その三時間後、「午後6時」も思い入れが強い。

「さて今日もそろそろ夕飯作ろうか」と腰を上げつつも、プレイは続いている。そんな夕方から夜に変わる何気ない瞬間を描いた一曲である。この曲もアコーディオンの使い方が絶妙だ。

 

そして私がシリーズの中で最も愛する村BGMが「午後10時」だ。

あまり語られることもなく、本作の中でもマイナー寄りなのだが、本作の世界観を象徴するような名曲だと個人的に思っている。音程を変えながらも同じフレーズを繰り返すエレピ。静かに入ってくるベースやアコーディオン。静けさを邪魔せず、それでいて欠かせないパーカッション。レの音を淡々と奏でるシンセ。静謐な夜に自分一人しかいないような錯覚がまず生まれ、しかしながら風の音だったり虫の声だったり、遠くに見える明かりだったり、自分以外の何かもいるのだろうと推測ができる。でも孤独を嗜むことのできるこの時間は誰にも邪魔されない。そんな気持ちをそのまま謳うことのできる最高のBGMである。いやもう本当に大好き。

 

有名どころだと「午前2時」だろうか。

スマブラにも収録されるほど人気の高い曲である。村BGMとしては珍しく、AメロとBメロに区分できるほどにメロディーがハッキリしており、力の入れ具合が伝わってくる。何が凄いって、そういった曲を午前2時という人が寝静まった時間にブッこんでくるところである。こんな名曲を深夜に聴かされたら、「もうちょっと起きてみようかな」と思ってしまうだろう。

 

最新作の「あつまれ どうぶつの森」でまず上げたいのは午前11時。

もちろん平日に聴ける曲ではない。遅く起きた休みの日、「そうだ、あつ森でもやるか」と電源を入れるのがこのぐらいの時間だろうか。そんな緩い気持ちの時に聴きたくなるのがこの曲だ。こちらのボケっとした頭に丁度良い雰囲気を届けてくれる。

 

うっかり早起きしてしまった時は[「午前7時」が聴こえてくる。

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朝早い曲のほうが“なんでもできる感”が強いのは、シリーズ恒例なのだろうか。スネアの音がマーチングのようで小気味よく、心の中にそっとワクワクを準備してくれる。

 

最後に隠れた名曲「午前5時」。

ピアノがメインで響き、同じフレーズをエレピでも奏でるという、シリーズの中でもかなり珍しい構成のBGM。ピアノの音が差し込む光や新鮮な空気を、エレピの音が微睡や温かな部屋を、それぞれ表しているかのようである。世界で一番早起きした時に聴こえてくる曲は、きっとこんな感じなのだろう。

 

とまあ、どうぶつの森シリーズで好きなBGMを挙げさせたらキリがない。どの曲にしても言えるのは、BGMがこのゲームの雰囲気に馴染みすぎており、もはや水や空気と同じ扱いになっているということである。それほどまでに森の生活では欠かせない存在なのだ。