ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

奥華子/小さな星

奥華子氏(以下奥さん)を知ったのは、スカパーの深夜のPV垂れ流し番組で出会った「ガーネット」という曲だった。同氏の曲を掘り下げていくきっかけとなった一曲だったが、それ以上にインパクトを受けたのは、こちらも偶然聴いた「小さな星」だ。

 

他の曲と比べればわかるが、この曲の編成は奥さんの中では割と珍しかったりする。イントロが重厚なストリングスアンサンブルから入る。そこに曲の中心で使用されるエレピが合わさってくる。ピアノを多用する奥さんだけに、エレピが非常に新鮮に聴こえる。

 

Aメロは低音がなく、比較的高めの音で構成されている。コードはメジャーが多いが、合間々々のいいところにセブンスやマイナーコードが入り、歌詞も相俟って揺れ動く不安な気持ちを表現しているようである。そしてBメロに入ると、沈みゆく夕陽を表しているのかマイナーコードが増えるものの、歌詞がAメロに比べて希望を見出すようなものになる。ベースが入ることで、不安な暗闇というよりは、落ち着いた夜をイメージするかのような雰囲気が醸し出される。

 

サビではアコギやドラムが入ってきて、いよいよ豪華な編成となる。感情の昂りもピークを見せ、編成も歌詞も一番の盛り上がりとなる。その一方で個人的に面白く思っているのが、全体的に音が低い点。もちろん高い音も散見されるのだが、特にサビ前半の部分は音としての盛り上がりが意図的に抑えられているような気がするのだ。切ない気持ちを吐き出しているサビではあるが、同時に不安な自分に言い聞かせ、自分を宥めているのかなあと、私は勝手に思っている。だってこの曲中の言葉って、遠距離恋愛をしている恋人に直接伝えていないんだもんね。

 

そしてこの曲然り、HEATWAVEの「オリオンへの道」然り、メガマソの「トワイライトスター」然り、こうしてブログに書いて気づいたことだが、やはり人は星空に希望を見出すものなんだなあと。