ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

南條愛乃/idc

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frip好きの私である。もちろん南條愛乃氏(以下ジョルノ)はfripに加入した時から応援している。したがってソロもちゃんと集めている。その中で一番好きな曲が「idc」である。

作詞がKOTOKO氏、作曲が黒須克彦氏という豪華な布陣で作られたこの曲は、「I Don't Care(勝手に言って頂戴)」というスラングを指しているそうだ。いきなり読譜に慌てる嬰ヘ長調で始まるこの曲は、キックとベースとディストーションギターのフレーズが8分の奇数拍を強調し、偶数拍では揃って音が消える、かなりダンサブルなリズムである。そこにシーケンサーでリズムが作られたシンセが聴こえてくるので、音作りとしてはfripSIdeを少しロック寄りにしたような雰囲気がある。なんというかfripのシングルというよりは、fripがPCゲームのために書き下ろしたような曲調なんだよなあと。

ちょっぴりtrust in youと似ている気がする

 

しかしこの曲はfripの曲ではない、ジョルノの曲なのだ。ファンの人はわかると思うけど、この歌詞の世界観が「自分で作詞したんじゃないの?」ってぐらいすごいジョルノっぽいのよね。「マシュマロガール」のようなポップな女の子の正体は、周りをうまいこと味方につけるキケンな悪魔だというのだ。

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悪魔…?

ただこの曲の何が可愛いかって、「本当のワタシはこうだからね、気づいてよね」というデレ要素が表れている点だ。そんなの隠していればいいのに、好きな相手には本当の自分に気づいてほしいから、ちょっとずつ本性をチラつかせて、「こんなワタシでもいいの…?」と予防線を張っているのだ。そして最後に「please love me forever」ときたもんだ。マシュマロガールには悪魔のしっぽも毒もあるのだが、心の中にはマシュマロが存在しているのである(多分)。

 

ジョルノ本人もドキドキしていたように、サビが「うるさいな!」というトゲのある言葉なのだが、それを気にさせないぐらい曲がポップで可愛い。黒須氏の手腕と、トゲのある言葉を小悪魔テイストに変えてしまえるKOTOKO氏のセンスによる出会いの妙によって、この名曲は誕生したのだ。

 

なおこの曲はライブver.も必見だ。ジョルノが可愛すぎて仕方がない。たとえそれが「キケンな生き物」とわかっていてもだ。