ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

KOTOKO/Special Life!

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今から13年前に「仮面のメイドガイ」というアニメが放送されていた。主人公の女の子の下にマッチョで無敵のメイド(♂)がやってくるスラップスティックコメディだ。話しのテンポがよく、ノリも良くて面白いアニメだった。そのOP主題歌がKOTOKOの「Special Life!」である。

私がKOTOKO氏を知ったのもこの曲。若干(?)電波ソングのようでもあるのだが、まずイントロは重厚なギターと軽快なドラムがアップテンポに響くという、なかなかユニークな始まりである。そこからKOTOKO氏の早口なボーカル&セリフに、マッチョな歌詞&コーラスという、これまた意表しか突かない構成なのだが、この男声はKOTOKO氏が自分で叫んでいるのだとか。そんな馬鹿な…。

 

本作を意識して作詞をしたようで、Aメロはこのアニメの導入部分のような歌詞となっている。主人公富士原なえかの家に「突然現れたモンスター」ことコガラシがやってくるあたりはまさに第1話だ。このコガラシの引き起こす騒動に巻き込まれていくななかは、本作でツッコミ担当である。

 

ところがBメロの歌詞から徐々にぶっ飛んでいく。「常識そんなもん藻屑とはじけた!」。今まで主人公目線で進んでいるのだから、ここの言葉も主人公の気持ちである。本編のツッコミポジションと違って、OPでのなえかはBメロですでに吹っ切れているのだ。

 

そこから「拳振り上げロケット噴射↑↑↑」の歌詞の通り、突き抜けていくような爽快なメロディーがサビでやってくる。A~Bメロまで楽器の編成は大きく変わっていないのだが、KOTOKO氏のコーラスが幾重にも重なっているからか、盛り上がり感がすごい。そしてまた歌詞が脳筋要素マックスである。先述のように主人公のななかは本作でツッコミなのだが、本編では結構ボケ倒すことも多く、視聴者から見ると「この娘も大概おかしいんじゃないの…?」と笑ってしまうようなキャラなのだ。そういった意味でサビで脳筋に振り切る歌詞になるのは、全くもって不思議ではなく、しっくりきてしまうのだ。

 

この曲の依頼がきたのが「リアル鬼ごっこ」の舞台挨拶ぐらいの時期らしく、頭の中はまだ「リアル鬼ごっこ」のダークな雰囲気でいっぱいだったにも拘わらず、こういったセンス溢れる詞を書きあげてしまうあたりが、さすがKOTOKO氏だといえるだろう。

 

ただしジャケットにもあるように、この曲のPVはなぜかサイパンで撮影されている。スプラッシュ感のある弾けた曲なので海辺なのかもしれないが、ここだけちょっと意味がわからない。

 

そんなわけであまりアニメ視聴が続かない私にしては珍しく、本作は最後まで見ることのできたアニメであった。最終話では二期に繋げられるような終わり方をしたのだが、それっきりであった。制作だって楽じゃなければヒマでもないのだろうが、二期が見られたら最高じゃないか。