ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

LOONIE/虹

バンドやグループというものは、メンバーチェンジや音楽性を変えながら、移り変わることが多い。このLOONIEというグループも、またその一つである。

 

彼らは元々90~00年代に活動していた、ミクスチャーロックバンドの麻波25(mach25)のメンバーであった。2004年に解散した後、MCのPASSERとYUICHIがRYOを誘い、2MC+1ボーカルのLOONIEが誕生した。そしてその4年後、グループ名をキャラメルペッパーズに変え、“ウェディングソングを歌うGReeeeN”みたいな路線へと転向し、スマッシュヒットを収めた。

 

つまり今回紹介するLOONIEは、グループとしての過渡期というか迷走期というか、蛹のような不完全変態状態の音楽なのである。そう聞くと音楽性的に大したことがないようにも思うかもしれないが、私はこの蛹の時期の曲が一番美味しく思えたりする。

 

このグループはハッキリと顔を出すことが少なく、出てきても皆サングラスをかけていたりと、誰が誰かわかりにくく、PVではそれが顕著に表れている(そしてその路線はキャラメルペッパーズも同じ)。

虹がかかる青空に飛び出していく、この爽快感ときたらどうだろう!曲調はまさしくゼロ年代のポップなヒップホップであり、麻波25時代のノリの軽さが引き継がれていることがわかる。

「Making the road」なんかと雰囲気が近い

サビ(hook?)で爽やかに歌っているのがRYOである。唯一のシンガーポジションなのだが、時折巧みなフロウを操ってくる。Cメロの「あてもなくわけもなく 雨にうたれて」の辺りの流暢なフロウが堪らない。

 

小籔千豊氏の声のような低音ボイスがYUICHIだ。韻を硬めに踏むためか、「Life isあんがい結構 tricky 喜怒哀楽全込みです正直」「毎週ラップ更新コンマ何秒調子?行きやフリーにな」など、リリックが日本語の文章としてかなり異様なことになっている。それをサラリと歌いこなすテクニックが光っている。この人はそもそも麻波25の時はドラマーだったりする。

 

トラックメイカーも務めるPASSERのねっとりと絡む高音フロウも特徴的だ。そこまで韻にこだわっていないが、「君やれば出来る子」「ウラララ 川を越えてく彼方」など、ワードチョイスがかなり独特。そしてこの三人が細かいパッセージで掛け合いをするところが、多く見られるのもこの曲の魅力だったりする。

 

LOONIEはシングル2枚とアルバム1枚を出して活動休止。後は上述の通りに自分達の音楽性を確立して現在に至っている。麻波25キャラメルペッパーズも長いこと活動していたため、ある意味一番レアな時期の曲なのだが、やはり私が学生時代に聴いていた思い入れ補正が大きいんだよなあ。