ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

The Muffs/Lucky Guy

このバンドを5ちゃんねるで誰かに教えてもらったのは、2020年2月3日。日付を覚えているのは、自分のTwitterにそうメモしてあるからだ。

 

ボーカル&ギターのKim Shattuckを中心とするこのバンドは、アメリカのロサンゼルスで1993年に結成されたパンクバンドである。曲調は至ってシンプルなバリバリのLAパンクであり、いつもワンピース姿のKimは、気だるげだけどシャウトも入ったパワフルな声で歌う。それがとても可愛いのだ。

 

そんなMuffsの曲から一つ、「Lucky Guy」を紹介したい。

曲調や歌い方、そしてPVからわかる初期衝動感!この曲の全てはBメロに詰まっていると思っていて、

 

And you know You have a thousand things in front of you

Doin' anything you like And takin' it easy

Is all you ever need to do

 

と歌っている。翻訳すると「目の前にはたくさんのものがあるのだから、好きなことをして気楽にいきましょう。それがすべきことよ」ということだ。これはバンドを結成したばかりのKim自身のスタンスそのものではないだろうか。キラキラとしたエネルギーを真正面に放つ感じ。輝き方がハンパない。

 

PVも見てもらえばわかるように、Ronnie Barnett演じる緑のレプラコーンが登場するのは「お前たちが欲しがっている金より良いものがあるぞ!」ということなのだろう。若きMuffsの下へ連れて行き、アメリカの音楽業界を牛耳っているような爺さんを「これが本当に求めていたものでしょ?」とばかりに夢中にさせていく。なんてパンクなんだろう。

 

この曲を教えてもらった頃、私は胆嚢摘出手術を控えており、また転職をして新天地へ向かうことになっていた。つまるところ不安だらけだったわけだ。このポジティブでエネルギッシュな曲がどれだけ自分を元気づけてくれたことか(その時はあまり歌詞の意味もわかっていなかったけど…)。

 

さてKimであるが、2019年に亡くなってしまった。もう少し早く出会っておきたかったバンドの一つである。