ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

Take That/Shine

深夜のPV垂れ流し番組で偶然流れてきたTake Thatのこの曲。私は曲調やPVこそ覚えていたが、グループ名や曲名を覚えていなかったためずっとモヤモヤしていた。ところがPVを録画していたDVDを2年前に発掘したため、14年ぶりにその靄が晴れたのだった。

まずミュージカル風のPVがインパクト大であってカッコいい。天まで届くような階段でシルクハットを被り歌うMark Owenの姿は一度見たら忘れられない。輝くセットの上でメンバーやダンサーが踊り、そこにキラキラとしたCGが合成される様は、日常を忘れさせてくれるようだ。

 

曲調はとてもシンプルなポップミュージック。目立つのはストリングスとピアノ、そしてTake That自慢のコーラスだろうか。イントロからピアノがリズミカルに低く短い音を刻む。Bメロから入ってくるコーラスとストリングスはElectric Light Orchestraを思わせるような美しさだ。

 

そしてこの曲の最大の魅力は、なんといっても力強さだろう。サビやCメロで「シャーイン!」と伸びやかに叫び、Cメロではコーラス先導でMarkが「You're all that matters to me!」と強調する。この曲はTake Thatを脱退したメンバーRobbie Williamsへのメッセージソングなのだそうだ。当時Robbieはソロ活動をしていた。丁度「Rudebox」を出した頃だろうか、エレクトロとヒップホップを融合したような、ダンサブルな音楽を発表していた。大きな成功を収める一方で、酒とドラッグに溺れていた。再結成したばかりのTake Thatは成功と破滅を辿るRobbieに対し「We're all just pushing along」、「Don't know what you're waiting for Your time is coming don't be late, hey hey」といったような優しくも力強いエールを、かつての仲間に向けて送ったのだ。道は違っても一緒に頑張っていこう、というスタンスなのだろう。「Let it shine Just let it shine」と表現するのが熱い。そう考えるとPVで出てくる電波塔は、この想いをRobbieへと届ける意味があるように思えてくる。

 

この曲がそうであるように、Take Thatは再結成してからRobbie Williamsを再び迎え入れるスタンスを取ってきた。かつてはRobbieと険悪な仲になっていたGaryも段々と和解へ向けて動いていった。そしてこの曲を発表してから4年の月日が経ったが、2010年についにRobbieはTake Thatへ戻って来たのだ。

これがRobbie復帰後の最初のライブ「Progress Live」で歌われた「Shine」だが、この曲ではまだRobbieは登場していないため、四人で歌っている。しかしその前年にラジオ番組で一人で歌ったりもしている。

Take Thatが五人に戻るための第一歩の曲だったのだろう。五人揃っての「Shine」を聴きたいものだ。