ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

Hysteric Blue/グロウアップ

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Hysteric Blueといえば、「春〜spring〜」や「なぜ…」などのスマッシュヒットを連発した、かつての人気バンドだ。しかし私の中では彼らの代表曲と言えば、この「グロウアップ」なのである。

 

90年代後半から2000年前後にかけて、やたらと怪談系のアニメや本が流行った時期があった。GTOが終わって少しして、ゴールデンタイムに怪談話のアニメが放送されていたというのだから、当時の怪談モノの盛況ぶりが伝わってくる。その時の主題歌がこの曲。

お分かりのように、まったくもって怪談アニメのテーマソングではない。PVはなぜか就活の様子を描いたものであり、そんな学生に向けての応援ソングのように聴こえる。なぜこの曲がタイアップとして選ばれたのか、偉い人の都合というものは複雑怪奇である(まだED「Sexy Sexy,」のほうが妖艶で合っていた)。

 

しかし曲だけを見ると、どういうわけか子どもの頃のワクワクをイメージさせるような曲調なのである。サビの奇数拍で叩かれるスネアには探検をするような躍動感があるし、音の数が少ないAメロから、四つ打ちのドラムが響くBメロへ、そしてまたサビへ戻ってくるという展開。この辺りのセンスが良いのだ。

 

つまり勝手なことを言えば、曲調はタイアップに合っているが、歌詞&PVがそうでもないという面白い曲なのである。でも私はこの歌詞と曲の組み合わせも好きで、特にラスサビの「少し魅力的になるべきである」の「少し魅力的になる」と「べきである」の分け方は印象的だ。メロディーに沿ってこうなっただけなのかもしれないが、「べきである」を単体にすることで、なんというか可愛さが増したように感じられる。

 

知っての通り、Hysteric Blueはギターのナオキ氏が2004年に逮捕されて解散。その後残ったメンバーが2011年にSabãoを結成するも、2018年に活動休止。Tama氏はそこから音沙汰がない。Hysteric Blueの再結成は絶望的なので仕方ないのだが、Sabãoの音源はまだまだ聴き足りないなあと思う次第である。