ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

荻野目洋子/星のスケート

「母と子のテレビ絵本」(現:てれび絵本)という、NHK教育で放送されている番組がある。物語と歌のコーナーがある15分ぐらいの短い番組で、幼少期の私はこれを見て育っていた。その番組で流れた曲の中で、最も印象的だったのが荻野目洋子の「星のスケート」という曲である。

なんて素敵な世界観なんだろう。星空がスケートリンクであり、流れ星をスケートの跡に喩えたロマンチックで広大なスケールを持つ、まさに「夢のスケート」の歌だ。スケートシューズも「光の靴」と形容しており、星を追いかけていくその姿に心のキラキラ具合が止まらない。2分30秒にも満たない、ただそれだけの歌なのに、あまりにも美しい世界が確立されてしまっている。

 

そしてこの素敵な世界観を飾り立てる楽曲も素晴らしい。ドラムがない分ベースが低音域を支え、その上でピアノやストリングス、ピチカートのハープっぽいシンセの音が、それこそ夜空を滑るスケートのように広がっていく。サビの気持ちよさは王道進行を使っているからだろう。

 

そこに乗る荻野目洋子の優しくて温かみのある力強い声が、この曲を満点の出来にしている。この曲は荻野目洋子が1994年にリリースしたアルバム「SCANDAL」の再販売版である、「SCANDAL [+6]」(2010年)に初めて収録された。おおよそ15年の月日を経て音源化したわけだが、それほどファンに待ち望まれ愛されていた曲なのだ。