ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

忌野清志郎/JUMP

THE TIMERSから忌野清志郎に入った私なんだけど、清志郎の曲で一番好きなのが、この「JUMP」だったりする。

何が凄いってこの曲、晩年の曲なんですよね。亡くなる数年前にこんなパワーのある曲を作ってしまうのが清志郎清志郎が若い頃から持ち続けている反骨心と人間愛が十二分に発揮されており、悲しみを表すであろう夜があって、それでも希望の夜明けに向かって進んでいくポジティブさをテーマにした名曲だ。

 

歌詞の「ひとつだけ多すぎる朝 うしろをついてくる」は、Bob Dylanの「One Too Many Monings」のオマージュだろうか。歌詞の世界観も似ており、清志郎らしいリスペクトを感じる。

 

何よりカッコいいのがバンドセクションの編曲!もうイントロのギターから痺れるのよ。The Doobie BrothersやThree Dog Nightを思い出させるような西海岸のロック譲りのフレーズ。そこにホーンアンサンブルが入ってきて一気に豪華になるんだから、もうたまらんですぜ。この曲ではオルガンやピアノまで使われていて、さらに「世界のど真ん中で」のくだりでは、本当にティンパニーを鳴らしている。この部分の歌詞の(清志郎らしい)凶暴性と相まって、インパクト大である。

 

要するにこの曲は、清志郎が持てる全てのエネルギーをつぎ込んだように思えるのだ。もちろん全ての曲に対して清志郎はエネルギーをぶつけているし、この後も何曲か作品を発表するのだが、「JUMP」からは、今まで歩んできた清志郎としての人生の全てが詰め込まれているような気がしてならない。

 

ちなみに上に挙げた動画は清志郎が亡くなる1年前、確か2008年にNHKで放送された「SONGS~忌野清志郎~」の最後の曲であったと思う(アンコールは除く)。これを最後に持ってくるんだから、やっぱりカッコいいよなあ。