ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

人間椅子/品川心中

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8年前ぐらいだろうか、「日本独自の音楽性を持つアーティスト教えろ」的な5ちゃん(当時にちゃんねる)のスレを見ていた時に、誰かが紹介していたのが江戸川乱歩の小説と同じ名前をした「人間椅子」というバンドだった。そのインパクトのある名前に惹かれ、早速調べてみたところ「品川心中」という曲がYouTubeのトップに表示されていた。

予算の関係から、和嶋氏の着物は化学繊維製なのだとか

イントロは三遊亭圓生氏の出囃子である「正札付」をサンプリングしている。というよりも、圓生氏が演じる「品川心中」にインスパイアされたようで、曲中の落語パートなんかは圓生氏の語りそのままである。

 

コード進行は非常に簡単で、ヨナ抜きっぽいメロディは純和風を思わせる。三味線のようにギターを弾く部分は圧巻だ。落語のおかしさに比べ、人間の業ともいうような退廃的でおどろおどろしく、それでいて虚しく聴こえるのがこの曲の特徴だ。鈴木研一氏のコーラスがそういった要素をこれまた助長させている。歌詞の世界観については解説しているサイトがあちらこちらにあるのでここでは割愛する。

それにしてもここまで和の世界観を表した曲調とメタルとの相性の良さに驚いた。そこから調べて「陰獣」まで戻り、このどんよりとした重々しい和の怖さをメタルで表現し続けていたことを知ったのである(和風ドゥームメタルとでもいうのだろうか)。2016年に出した「怪談 そして死とエロス」というアルバムは、人間椅子を表したようなタイトルだと思っている。