ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

ザ・リーサルウェポンズ/昇龍拳が出ない

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私はスーパーファミコン全盛期に、ニューファミコンから入った奇特な人間だった。なのでストリートファイターⅡは友人の家で遊ばせてもらった程度だ。コマンドもよくわからないような年齢だったので、Aを連打してエレクトリックサンダーを出せるブランカぐらいしか使っていなかったような気がする。ただストⅡというコンテンツの魅力に惹かれ、近所の本屋で『ストリートファイターII ひみつ百科』という本を買ってもらうぐらいにはハマっていた(その本は今も手元にあったりする)。

 

そんな平成初期のストⅡのケンステージBGMに歌詞をつけて歌っているのが、このザ・リーサルウェボンズ(以下ポンズ)という謎のグループ。

令和版の「エアーマンが倒せない」だよね

昇竜拳コマンドの難しさと、ストⅡキャラのあるあるを外国人が言っていくというシュールな歌だ。その横ではヘルメットを被った謎の男がSteinbergerのSpiritという、これまた珍妙なギターを弾いている。なんだこのコンビは。

 

この曲はギタリストのアイキッド氏自身が、当時このBGMに歌詞をつけて歌っており、時を経て自分たちのグループの曲として発表したものだそうだ。もちろん下村陽子氏の許可も取っている。

 

曲はまんまケンステージのBGMなのだが、アレンジは思い切り80年代シンセポップであり、そこにギターソロの部分で代表されるようなメタルの要素を混ぜ込んでいる。現代でいうところのシンセウェイヴというジャンルだろうか。

 

この曲に限ったことではないが、アイキッド氏は全部打ち込みで作っているのだとか。言われてみればハイハットとかライドシンバルなどの金物は打ち込みっぽいし、何のソフトを使っているかは定かでないものの、ギターのピックスクラッチは該当するキーを押して出した音だというのがわかる。でもその打ち込みっぽさがシンセウェイブらしさを出していて、逆に彼らの強みになっている。

 

作詞はアイキッド氏とはいえ、歌っているのは外国人のサイボーグジョー氏だからか、サガットステージの仏像を「神様」と表現しているあたり芸が細かい。

 

曲のレビューとして書くことはそんなにないけれど、この曲を聴いてケンステージBGMの再評価をしてしまったぐらい、実力のあるコンビだ。たまに頭の中で「♪昇竜拳が出ない」とループしてしまう。まさにThank you for the fiery musicだ。面白くて中毒性のあるグループ見つけたなあと思っていたら、あっという間にメジャーデビューしたが、そこまで驚いていない。そりゃ売れるだろうなと。