ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

ブレイザードライブ

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カードゲームタイプのゲームは、数年に一度リバイバルマイブームがやってくる。「ポケモンカードGB2」、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ6 エキスパート2」、「カルドセプトDS」、「高速カードバトル カードヒーロー」など、終わりがない故にいつまでも遊べるようなゲームをふと思い出して電源を入れると、しばらくの間ハマってしまう。そんな不思議な魅力がある。

 

そんな中でも特に私がハマったのが「ブレイザードライブ」というDSのゲームだ。アクティブタイムバトルシステムを導入したRPGに、カードゲームの要素を取り入れたゲームである。デッキからミスティッカーというシールを引いていき、これを腕に貼ってプレイヤーを強化し、相手のHPを削っていくというかなり独特なシステムを持つのだが、これが絶妙な戦略性と中毒性を生み出し、ターゲットの年齢層が中学生ぐらいだったと思うのだが、大人もハマれるクオリティに仕上がっている。近未来的な世界観のストーリーも熱血王道モノであり、キャラクターも魅力的な人物が多い。

 

そして秀逸なのがBGM。まずOP「Blaze Out!」をサイキックラバーが歌っている。

ハードなギターが響く熱血な歌詞と、サイバー感溢れる打ち込みサウンドがマッチしたこの曲は、単独で記事にしたいレベルなのだがここで書いてしまう。最初に聴いた時よりも、このゲームを何度も遊んでいくうちにどんどん好きになっていく名曲だ。「Blaze Out!」というタイトルや、「絆に貼った誓い なぞるたび傷ついても」という世界観に合わせた歌詞など、ゲームのために書き下ろされた曲であることがわかる。そもそもこの曲の制作に本編サウンドクリエイターの澤田朋伯氏が参加しているため、本編とマッチした曲に仕上がっているのだろう。

 

その澤田氏の作る本編BGMも秀逸だ。本作中最も私の愛するBGMが、この「シブヤ003」である。

第Ⅲ区にあるデパート「003」のエリアに入ると流れてくるハウス調のBGM。近未来と自然が調和した店内にミドルテンポの四つ打ちがリズミカルに響き、跳ねるようなシンセベースがノリを作り、シンセやヴォコーダーの声がこれを彩る。ハウスの曲として最高のバランスを誇っているBGMだ。後半の左右に広がるブリブリとしたシンセベースがアクセントとなっており、単調な作りにさせないところも凄い。

 

一番耳にするBGMは「フェンリル指令室」だろう。

ミッションの受注、連れていく仲間の選択、通信にショップなど、ガーディアンとしての活動準備は全てここで行う。オールドライクでブギーなギターに、スクラッチやシンセベースが合わさった古くて新しい曲調が特徴的だ。ハイテクの粋を集めた拠点の割には近未来感のない曲であるが、ハードなミッションから帰ってきた主人公がくつろげるような力の抜けた曲調がちょうど良かったりする。

 

ラグーナやモノレール駅のある第Ⅶ区セントラルフォールのBGMは本編の中でも風変わりな曲調である。

大滝に伴った川が流れているからか、水辺を思わせる仕上がりになっている。鳥の声のような効果音、ディレイの効いたパーカッションが辺りを包み込み、この地区のスケールの大きさ水辺の気持ちよさを感じ取ることができる。それでいてここが最先端の技術で整備された場所であることを思わせるかのようにシンセの音が鳴り響く。ウナギを探したり樽を運んでる場合じゃないんですよ。なおこのヴェネツィアを模した町であるミッションをクリアするとケットシーのミスティッカーが貰えるあたり、某漫画&アニメのオマージュを感じずにはいられない…。

 

第Ⅰ区に位置し「お子様お断り通路」「あやしい店」「あぶない店」などが並ぶ大人の歓楽街ピンクパラダイスで流れるのは「桃色楽園」。

ウワモノは和風なのだがドラムがヒップホップ系という、これまた異様な組み合わせがダーティな世界観を成立させたBGMである。CERO Bで対象年齢が12歳以上だからといって、よくもまあここまで色っぽい街を平然とフィールドとして用意したものだと今でも思っている。違法ドラッグを取り締まるミッションまで用意されている始末である。

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この街を作ったおかげで、CEROがBに上がってしまったのだが、そこまでしてやりたかったのか…(ただし四帝王のカレンの衣装も原因の一つだと考えられる)。

 

戦闘BGMはどれもカッコいいのだが、二つ紹介したい。まずボスである四帝王戦のBGM。

主人公たちの行く手を塞ぐ悪の組織NEXT。その幹部である四帝王というSランクブレイザーがいるのだが、四人のうち三人は大して強くはない。しかしツルギという四帝王だけはメチャクチャ強いのに、なぜかストーリーの序盤で出てくるのである。コイツの強さの秘密は、ボススキルの「連剣『隼』」という二回行動能力と、その度に確率で発動するナイトメアでこちらのドライブモードを潰す(シールを引けない&シールを貼れない)ため、手札に折角良いミスティッカーが揃っても何もできない。2nd-DRIVEでライトニングムーブが発動される頃には、好き放題に嬲られるしかなく、1対2の戦いでこちらが有利であるにも拘らず、あっさりと負けてしまうのである。その時のトラウマからこのBGMは耳に焼き付いているのだ。というか普通四天王系って段々強くなっていくのに、最初の一人が一番強いのってどういうわけなんだろうか…。

 

またラスボスのアルバート戦のBGMも印象的だ。

ボススキル「電風の天罰」によって後攻から急にスピードを上げて二回連続攻撃を行ってきたり、ミスティッカーのルナによるミスティッカー破壊を毎ターンやってきたり、「天の支配」のスキルでこちらの攻撃を防いだり、時間をかけて育てたミスティッカーを2nd-DRIVE「カオスゲート」で全部破壊してくれたりと、チートスキルによってボコボコにする悪党中の悪党である。「六賢、我と共にあり!」「最期の時だ!」という言葉が聞こえてきた時の絶望感はゲーム随一である。したがってこのBGMもトラウマになっているのである。

 

他にもまだまだお気に入りのBGMが沢山あるのがこのゲームであり、ゲームシステム、BGM、ストーリーと非の打ち所がないのだが、どうにも知名度はそこまで高くない。というのも販促漫画を連載していたのが『月刊少年ライバル』であり、明らかに掲載雑誌チョイスを間違えたように思う。これがコロコロだったらなあと思わずにはいられない。

 

しかしその完成度からファンは多いので、今はまだ叶わない願いなのだがSwitchあたりでリメイクor続編が出てくれればと切に願うばかりである。