ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

石野卓球/stereo nights

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今も放送されているかは知らないが、スカパーの音楽チャンネルの番組で、ミュージシャンがゲスト兼司会となって、自分の好きなPVを紹介していくものがあった。丁度16年前の今頃に見た回では、スチャダラパーが出てきたのだが、そこで彼らが挙げていたPVのほとんどは電気グルーヴ(以下電気)の石野卓球氏が作ったものであった。私は電気の曲をすでにいくつか聴いていたのだが、石野卓球のソロ曲は初めて知った。それが「stereo nights」である。

なんてくだらないPVなんだ!(誉め言葉)。曲はこんなに素敵なのに、カラオケ風のカタカナ英語表記、同じシーンを繰り返したり、意味もなく猫をカラフルにして遊んだり、「怖ッ!!」という文字表記など、くだらなさに例を挙げればキリがない。男女のダンスがガチなのも面白すぎる。すごく電気っぽさを感じるなあと思って見返したら、PVはピエール瀧が作っているそうだ。納得。

 

さて肝心の曲であるが、テクノなんだけれど電気っぽくないというか、卓球氏の他の曲に比べてポップなんですよね。卓球氏はミニマルテクノが得意で、クラブで首を振って踊れるようなものをソロで多く発表しているが、歌詞が存在していることもあり、この曲は万人受けするような曲調だ。はねるシンセベースや軽快なクラップの音はするものの、あまり変動のないフレーズと煌びやかなシンセの音が散りばめられているため、穏やかなまま楽しい気分にさせてくれる。

 

そしてこの穏やかな気持ちになる要素の一つとして、サンプリング元の存在が挙げられる。知っている人もいるかと思うが、喜納昌吉氏の「花〜すべての人の心に花を〜」のイントロをサンプリングしているのだ。

そりゃ優しい気持ちにもなるだろうと。しかしこの曲をテクノのフレーズに昇華させる発想がすごい。