ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

マキシマム ザ ホルモン/恋のメガラバ

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初対面の人とカラオケへ行き、最初に歌うのが大体マキシマム ザ ホルモンの曲。知っている人からも知らない人からもウケる鉄板ネタである。

 

このバンドとの出会いも、深夜のスペースシャワーかMTVのPV垂れ流し番組だったはず。その時流れていたのが「恋のメガラバ」である。初めて見た時の私は、PVに出てくるメガネ君みたいな表情になっていたと思う。

「重厚な音の割にポップなサビで、ダンサーがエキゾチックでカワイイなあ」とか思っていたら、壁が破れてメンバーが登場。突然メタルコア調になる。デスボイス&シャウトの何を言っているかわからない歌詞。聴いたばかりの私は「この曲、デスボイスがなければいいのになあ」等と宣っていた、とんだ甘ちゃんだったことを覚えている。

 

この曲は構成が非常に美しい。ポップな曲調をブチ壊してハードに暴れ、一通り暴れた後に少し落ち着いたリズムになる。四つ打ちのキックに8ビートで刻むギター。それが8小節続いた後はモータウンビート(こんなにハードなものは聴いたことがないが)で綺麗に揃え、徐々にボルテージを上げていく。何よりこの16小節は全ていわゆる「小室進行」であり、J-POPの要素が入ってポップさが次第に蘇っていく。ここでサビに戻らず、まだメロを16小節も挟む。サビへ向かってつまみをひねるように盛り上がりを見せていく構成は、見事としか言いようがない。サビのグルーヴがこれまたダンサブルで、踊れるロックにきちんと仕上がっている。確認したことはないが、ホルモンの作曲担当であるマキシマムザ亮君は、リフ先行で8か16小節作って、これを組み合わせて曲を作っているのではないかと思っている。

 

とにかくこの曲でホルモンを知った私はアルバムを集め始め、何を勘違いしたのか「これカラオケで歌ったら盛り上がるんじゃね?」と考え始め、大学へ行って同じ授業を取って仲良くなった友達や先輩たちの前で「恋のメガラバ」や「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」を歌い始めた。彼らもまたPVのメガネ君みたいな表情をしていた。「ご満悦プレイ」とはまさにこのことだったのかもしれない。ただ歌ってみればウケは非常によく、カラオケの空気は狙い通り盛り上がったし、この曲をきっかけに仲良くなった人もいた。そもそもこの曲の歌詞自体が、開放的になっていく人の様子を歌っているので、少し前までカラオケに抵抗のあった私自身とシンクロした部分があったように今は思う。

 

ところで亮君は、すかんちのファンらしい。「恋の…」で始まる曲はすかんちを思わせるが、彼らの曲で使われているギターソロを匂わせるフレーズが、「メガラバ」の最後に使われていたりする。

亮君によるすかんちへの非常に強いリスペクトの念を感じる。受け継がれるサンプリングに対し、ROLLYは大変に喜んだとか(そもそもROLLY自身が、敬意を持って洋楽のサンプリングをするミュージシャンである)。

 

恋のメガラバに始まった私のホルモン愛は、今もまだ続いている。惜しむらくはアルバムリリースの間隔が非常に長いこと。YouTubeを見る限り色々な企画に精を出しているが、個人的な意見としてはアルバムを早く出してほしかったりする。それでも私は待ち続けるぞ…!