ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

THE BACK HORN/戦う君よ

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私がTHE BACK HORN(以下バクホン)に出会ったのが、この「戦う君よ」という曲だ。本当はその四年前に「初めての呼吸で」で出会っているのだが、あまり印象に残っておらず、すっかりその存在を忘れていた。しかしこちらの曲にはメッタメタにやられてしまった。いやあ良い曲だ。バクホン自体についてはあまり詳しくないのだが、もう20年以上活動をしているベテランバンドだ。バリバリのロックに日本の歌謡曲テイストを混ぜたバンドで、他のバンドにない独特なメロディーと声が特徴的だ。

「戦う君よ」は非常にわかりやすい応援ソングである。歌詞が真っ直ぐで一点の曇りもない。2番サビの後にバクホンはよくCメロを置き、そこからラストのサビに向かって駆け上がっていく曲が多いが、この曲では2番サビの後にCメロが来ず、間奏を8小節挟んで再びサビに入る。そのサビの後にラストサビがくるのだが、それまで荒々しい風に向かって勇ましく立ち向かっていたのが、急に道が開けたような清々しい曲調に変わる。使っているコードは特に変わっていないのに、これだけガラリと印象が変わったように思わせるのが凄いところである。

 

そしてPVのインパクト。メンバーがそれぞれ溜まったフラストレーションをぶちまけるような、よくわからないことをしている。カラオケ本は破くわ、タンバリンは飛ばすわ、ギター持ったまま風呂へ入るわ、紙を部屋中に貼るわである。この何とも言えず、それでいて行き場のない鬱屈としたエネルギーを表現した感じが、勢いのある曲調とピッタリと合っている。面白いのがボーカルの山田将司氏。バンドのメンバーが演奏する中、常に真っすぐを見つつ全く歌わないのだ(しかしそれがカッコいい)。

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しかし曲が3番サビに入ると、ついに彼は歌いだす。メンバーもどこか憑き物が落ちたような顔になっていく。上記の曲の構成とピッタリなのだ。

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なぜかノリノリでリンゴを食べ始めるベースの岡峰氏

20年以上も続いているので、彼らの曲調は初期と現在とではちょっとずつ変わってきているが、「一番好きなバクホンの曲と言えば?」と聞かれたら、最初に出会った補正がかかるのか、私の中ではやっぱりこの曲なのである。今でも元気を出したい時、ちょっと眠気が残る時、私の音楽プレーヤーではこの曲が鳴り響き、10年以上経った今も私は晴れ渡るあの空を目指している。